自然体験が発育にポジティブな影響を与える事例は多くありますが、子どもの人口は自然の少ない都市部に集中しています。地域による自然の体験格差をなくすためには、都市部でも豊かな自然に出会える仕組みをつくらなければなりません。都市部で自然に触れるには工夫が必要です。例えば、ちょっとした空きスペースに植物を置いたり、光や風を感じる工夫をしたり。身近な自然を意識することで、子どもだけでなく保育者の創造力も育まれます。「自然とはなにか」を考えることも大切です。緑だけが自然なのでしょうか?車が好きな子どもが本物の車を見て、光の反射や形などをじっくり観察することも、自然体験と言えるかもしれません。そのような問いを現場や学生に投げかけ「保育とは何だろう?」と深く考える人を育むことも、私の重要な仕事の一つです。
小磯先生の授業では、子どもの目線に立つ力を育むために、「子どものころの楽しさ」を再体験することを大切にしています。現場の先生から、「新任の方は『支援』で頭がいっぱいになって、『子どもと一緒に遊べない』人が多い」という声をよく小磯先生は聞くそうです。机の上で学ぶだけでなく、実際に草花などに触れて、「これを使ったらどんなことができるかな?」と考え、遊びを通して子どもの気持ちに近づきながら学びを深めます。子どもと同じような「遊び」を改めて体験し、現場に立った時に「子どもと一緒に遊べる力」を養います。
現場には人材が不足しており、子どもたちが皆さんを待っています。幼児教育は「何ができるか」を自分で考えられる仕事です。自分の得意や好きなことで未来を支えてみませんか?そのための学びが本学で待っています。
専門:幼児教育学、保育内容[環境][表現]
大阪教育大学附属幼稚園、大阪市立幼稚園教諭、園長、大阪市教育委員会 指導主事、そして再度園長を経て、2020年より四天王寺大学 教育学部教育学科幼児教育保育コースに着任。日本保育学会、世界幼児教育機構(OMEP)会員、乳幼児教育学会会員に所属。これまで培ってきた自らの経験を生かし、現場の教育の実践と研究の場の橋渡しに取り組んでいる。