1/2+1/5=2/7は間違いですよね。では「眼鏡をかけている人がAグループは2人中1人、Bグループは5人中1人。合わせたら7人中2人にならない?」と聞かれたらどうでしょう。納得しそうになりますが「そんなはずはない」と水槽図などを使って間違いを見つけ出そうとします。これは私が小学校教員の時、実際に子どもから質問されたもの。こうした素朴な疑問から入り、子ども自らが必然性をもって調べ考え、解決するのが「子ども主体」の学びです。しかし、実際の授業では、素朴な疑問はスルーされ、いかに知識を伝達するかに重点が置かれています。「指導案や理論通りに教えないと…」というのは教師側の論理でしかありません。「教師主体」ではなく「子ども主体」の授業ができる教員を育てることが、30年近く現場で経験してきた私の役割だと考えています。
福本先生の授業でまず取り上げられるのは実際の学校現場での様々な事例。例えば「遅刻ぎりぎりで駆け込む児童がいて危ないが、校門は時間どおりに閉めるべきか」といったテーマについて自分たちで考えながら「子ども主体」と「教師主体」の立場の違いを鮮明にし、「子ども主体」の教育を実現するための力を育んでいきます。理論だけではなく、実践のなかで「子ども主体」の教育観や指導観にチェンジしていくことが特徴。ゼミでは現職教員の授業を遠隔観察し、「子ども主体」の授業改善を実践化する過程に参画する機会もあります。
未だに教育現場では旧態依然の授業が続けられ、そのつけは子どもたちにまわってきます。「正解などない問い」にあふれた時代に、知識伝達型の教育では対応ができません。さあ、みんなで教育を変えていきましょう。
専門:教育方法、教師教育
小・中学校での教員歴は約30年。教頭も務め、現場で「子ども主体」の教育を実践してきた。2014年に四天王寺大学の専任講師に着任し、現在に至る。「私は、いかに教えるかという指導法や理論にこだわった授業に興味がありません。大事なのは子どもが何をどう学んだかということ。指導案通りに進めなくてもいい。学習の責任や主導権を教員ではなく子どもに100%ゆだねることが、学びを深めていきます」。