「HIV薬剤耐性検査の標準化」に取り組んでいます。HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染すると最終的にAIDS(エイズ)を発症しますが、感染しても適切な薬を飲み続ける限りその発症を抑えることが可能です。それぞれの患者にどの薬が効き、どれが効かないかは、感染したHIVの遺伝子配列を調べればわかりますが、検査実施施設により検査方法が違うため、施設により検査結果に差があるのが現状です。私は、いつ、どこで、誰が検査を受けても同じ結果が出るよう検査方法の標準化に取り組んでいるわけです。HIV感染者は日本でも世界でも増加中ですが、適切な治療の普及が患者の病状を改善し、新たな感染者数を減らすことがわかっています。AIDS撲滅という人類の幸福のための大きな目標に、私は臨床検査技師として、自分のできることで挑んでいます。
2019年度に東北以北の私立大学で初めて開設された臨床検査技師養成課程。2020年度に専門科目の授業、実習が本格的に始まります。臨床経験、研究実績とも豊富な教員による指導のもと、最新設備を活用しながら、ゲノム医療など先進医療への対応も視野に入れ、高度化、複雑化する検査技術と考察力を学びます。中には、自分の白血球を培養し、自分の染色体をその目で観察する実習も。臨床検査技師、大学や製薬会社の研究員、治験コーディネーター、さらに食品衛生管理者など、学びを進めると目の前にたくさんの選択肢が広がる科目構成です。
臨床検査技師がカバーする範囲はとても広く、深く、高度です。病気の診断や治療に欠かせない検査を担うのも、遺伝子検査、ゲノム診断を支えるのも臨床検査技師。その知識と技術は様々なステージで生かせます。
北海道大学医療技術短期大学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。北海道大学附属病院検査部勤務、医学部助手、大学院講師を経て、2016年北海道医療大学着任。大学で初めて自分の目で、直に遺伝子を見たとき「自分はこんなものに支配されているのか!」と驚いたこと、臨床検査技師として大学病院に勤務していた時期に遺伝子検査が急速に発展し、盛んになったことが遺伝子を専門にするきっかけだったという。