〈桑沢〉では、家具などのプロダクトデザイン、インテリアデザイン、住宅を中心とする建築設計を「スペースデザイン」とくくり、専攻分野のひとつに位置付けています。「スペースデザイン分野」では、空間も含めてデザインする学びが特長です。特に、人間と近い大きさで空間を身体的にとらえ、人やモノ、空間をまとう空気までデザインできるよう指導しています。あらゆるモノにはスケールがあり、比較する対象との関係により見え方は変化します。デザインのアイデアは身近にあるからこそ、さまざまな視点からモノや事象をとらえ、スケール感を学ぶことが大切なのです。人の記憶は過ごした場所・空間と一体にあるといえます。スペースデザインとは誰かの記憶に残る場所・空間を生み出すもの。その魅力と社会的意義についても教えています。
住宅設計の授業では、その昔〈桑沢〉で教えていた建築家・篠原一男氏の著書や設計した住宅の訪問見学などにより篠原氏の住宅設計思想を学び、学生一人ひとりが設計思想を形づくることをめざします。なかでも、特徴的なのは、篠原氏が設計した住宅の隣に敷地を設定し、新しい住宅を設計する課題。設計思想とは、新たなライフスタイルを提案するための考え方ともいえます。篠原氏の住宅デザインと向き合い、篠原氏が世界的に評価される背景やその思想を理解するプロセスを通じて、不変の価値を有するデザインとは何かを学んでいきます。
スペースデザイン分野は各専門家と協働する仕事ですので、数学が苦手でも問題ありません。学びたい!という意欲があれば、専門資格は後からついてきます。一緒にデザインの真髄・価値を生み出す意義を学びましょう。
専門:建築・インテリアデザイン
大松俊紀アトリエ代表(一級建築士)。京都工芸繊維大学卒業。The Berlage Institute, Amsterdam(オランダ)修了。CHORA/Raoul Bunschoten(ロンドン)勤務等を経て、2005年から専門学校桑沢デザイン研究所スペースデザイン分野責任者。建築家として住宅の設計を行うほか、実験家具を手がけるデザイナーとしても活動している。