『ゲームはグラフィックが一番重要だ』とよく言われます。それは半分正しくもあり、半分間違っていると思います。ゲームの面白さの本質は、そのゲームのルール設定や、快適に遊べる環境が構築されているかどうか。そして、ルールを分かりやすく明示したり、プレイヤーの状況を視覚的に表現するのは、すべてグラフィックの仕事です。単純に綺麗なグラフィックを見せたいのなら、何もゲームにする必要はありません。定められたゲームルールの上で最適なグラフィックを描き出すこと、それこそがゲームCGです。ゲームの面白さはグラフィックだけでは決まりませんが、グラフィックによってその楽しさや魅力を何倍にも高めることができます。それを生み出していけるのが、ゲームCGデザインという仕事の面白さであると私は思っています。
ドットアニメーション、ゲームキャラクターデザイン、モーションデザイン、エフェクトデザイン、ユーザーインターフェイスなど、ゲームCGデザインに関する様々な技法を教えている長尾先生。自身のゲーム企画・開発会社が手がけたゲームサンプル、あるいは注目のソフトを学生に多数提示。ゲームの面白さを伝えると同時に、探究心を育むため日々刺激を与えているという。「興味を持つ部分は人それぞれ。私はその引き出し役です。自分が本当に楽しいと思える部分が見つかれば、それはその人の伸びにつながると思うのです」。
ゲームが好きという気持ちは大切ですが、好きならばこそ、そのゲームの隅々まで見るようにしましょう。そこには楽しくするための演出意図がいっぱい隠されています。そして自分ならどうするかまで考えてみましょう。
専門:ゲームCGデザイン。
1976年、香川県生まれ。専門学校でCGを学び、卒業後、大阪では老舗的存在のゲーム制作会社に入社。その後フリーランスで活動し、2008年に株式会社COMET DESIGN WORKSを設立する。同社は個性豊かなインディーズゲームの企画・開発を行うとともに、PCソフトウェア、スマートフォンアプリの開発なども行っている。OICの講師歴は約10年に及ぶ。