私たちは、水たまりをよける時や狭い道ですれ違う時など、目から得た情報を使って身体をコントロールしています。これは知覚・認知心理学で分かっている心の機能の一つで「視覚運動協応」といいます。高齢になると今までできたことができなくなったりしますよね。これは情報と身体がうまく連動していないからなんです。「視覚運動協応」のメカニズムを知ることで、高齢者の支援にも役立てるのでは?と思ったのがこの研究を始めたきっかけです。高齢者に限らず、誰でも得意不得意はあります。例えば発達障がいなどを抱える方も、特定の行動が難しいと困っておられることが多いでしょう。何かがうまくできない時、知覚・認知心理学的な視点から考えてみることで納得のいく行動ができるようになり、一人ひとりの幸せにつながっていけばよいと思っています!
「なぜ人は教室で後ろの席を選ぶのか」などの素朴な疑問を心理学的に考えてみることを通して、自立性やコミュニケーション能力、専門へのモチベーションを育てます。授業では、錯視の面白さやバーチャルリアリティと知覚心理学の関係などを知ることで、実は心理学と日常は密接に結びついているということを学びます。将来の進路についても、心理学の知識は大いに役に立ちます。接客業を例にすれば、社会心理学はコミュニケーション、産業心理学はマーケティング、そして知覚心理学は人の心に訴えるデザインや店舗つくりなどに役立ちます。
「目に映る世界をどんなふうに感じ、行動しているか」なんて、ふだんはほとんど意識していませんよね。でも、それも心理学なのです。「日々の当たり前」をいろいろな視点と価値観から感じられるようになります。
略歴:2007年3月に九州大学大学院人間環境学府行動システム専攻博士後期課程修了/博士(心理学)。
【主な職歴】
名古屋大学(研究員)/大阪大学(研究員)/産業技術総合研究所(研究員)/明海大学(専任講師)、2021年4月より現職