声優になろうと思ったのは中学生の頃。コミックの台詞を読んで録音して研究していました(笑)。私は京都出身なので、最初は関西弁が抜けなくて苦労しました。少年役が多く、女性役に苦手意識を持ったことも。オーディションに落ち続け、ある時はほぼ私で決まりと言われていたのに落選。でも、全てをかける想いで挑んだ次のオーディションではなんと合格。私は審査員の反応を意識して試されているというプレッシャーに押し潰されがちでしたが、その時は相手を気にすることもなく、自分のやりたい演技に集中でき、それが功を奏したのだと思います。
そんな経験をしてきた私の想いは、「折れずに長く活躍できる声優になって欲しい」ということ。若いうちは多くの壁に遭遇すると思いますが、乗り越えて頑張ってほしいですね。
授業では学生が台本を読み、随所で松本先生がアドバイス。人を引っ張りながらの台詞では「筋肉がどう動いているか意識して」とコメント。声だけの表現であっても、体の動きまで意識することで伝わる演技になるとのこと。実際の収録現場でも、プロの声優さんたちはマイクから遠ざかったり音を立てたりしない程度に動いて演技をするそうです。
さらに先生が心掛けているのが、仕事の魅力を伝えること。「声優は自分ではない何かになれる仕事。石や木など、ありえないものにだってなれます(笑)。年齢を重ねても続けられるのも魅力です」。
最初は上手じゃなくても大丈夫。どれだけ成長するかが大事です。スポンジのように吸収しましょう。あと、何かを感じながら過ごしてください。今の自分はどんな気持ちなんだろうとか、感情と向き合ってみてください。
京都府出身。アニメ『ドラえもん』のセワシ、ゲーム『ゼルダの伝説』の主人公リンクなど、演じた役は多数。歌も好きで、ライブで歌うほか、子ども向け教材での歌唱も。2022年には舞台にも初挑戦。2010年より、東京アニメ・声優&eスポーツ専門学校で声優ワールドの講師として指導にあたっている。