
大学の枠を超えて九州大学病院と連携し、医師をはじめとする医療現場が抱える課題に向き合いながら、AI技術による解決を目指しました。中でもストーマ装具は種類が非常に多く、患者さんに合う装具を見つけるまで長い時間を要することが大きな課題。当初は、どのようにAIで解決すべきか手探りの状態からスタートし、医療現場の声を聞きながら検討を重ねました。そこで、カルテデータ(倫理審査承認済)や臨床情報を一つひとつ整理し、試行錯誤を重ねて数値化することで、AIが学習可能なデータへと変換。予測精度の向上にも取り組み、患者さんに合ったストーマ装具をAIで早期決定できるシステムを開発しました。さらに、使いやすさを重視したWebアプリも実装。より良い社会の実現に向け、課題解決に貢献するAIの開発に挑戦しています。

連携先である九州大学病院の先生方を前に、システム開発プロジェクトの成果を発表しました
このプロジェクトは、九州大学病院と連携し、医療現場の声を聞くところからスタート。ストーマ装具が合わないことで生じる患者さんの不安や、装具選びの難しさといった課題を知ることで、社会にどのような問題があり、自分がどう向き合うべきかを考えるきっかけになります。「誰かの役に立つAIをつくる」という明確な目的こそ、学生の学習意欲やモチベーションを高める原動力。プログラミングやAIの知識に加え、チームでの情報共有や計画性など、将来を見据えた実社会で求められる力も身につけられる実践的な学びとなっています。

「ただプログラミングするだけでなく、実装までするからこそ実践レベルの生きた学びになります」と河野教授
学生主体でアイデアを出しながら、カルテに記録された情報をAI学習用データとして数値化し、AIモデルを構築。その成果をもとにWebアプリとして実装するなど、いずれも半年間かけて開発を進め、最終的には成果を発表します。「試行錯誤のプロセスや、開発の成果を社会に向けて発信することで、学びを社会に還元する意識や自己有用感も高まります」と河野教授。自ら考え、カタチにしてきた実践的な経験そのものが、確かな手応えとなって就職活動の場では自分の強みとなり、学生にとって大きな自信にもつながっています。

AI学習データを整備し、AIモデルを作成。医療現場での使いやすさを考慮して、最終的にWebアプリとして実装
AIやプログラミングに興味はあるけれど、理系に自信がない人も大丈夫。得意なことを活かし、仲間と協力しながら形にする経験が大きな自信につながります。学んだことを人の役に立てたい―そんな思いを持つ人はぜひ!

「AIを用いたストーマ患者の装具選択システムの開発」を担当する河野教授
河野 央教授/九州芸術工科大学大学院 芸術工学研究科博士後期課程(芸術工学専攻)修了。在学中より企業内でコンピュータグラフィックス(CG)を用いたCM制作や立体映像作品の制作に携わり、福岡広告協会賞、PPA Award Gold、ACC賞などを受賞。2007年より久留米工業大学に着任。現在は学長補佐を務める。実社会と結びついた実践的な教育を重視し、社会課題解決型のAI教育・プロジェクトを推進している。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。


