
認知症の予防や治療に向けた取り組みの一つとして、私が取り組んでいるのが脳波を使った検査技術です。現在の認知症診断は画像検査や血液検査、臨床心理士の検査、医師の問診などから成り立っています。私が取り組む「脳波を使った認知症検査」では、文字入力型BCI(Brain-Computer Interface)を使い、注意(attention)を調べるという手法で、コンピュータを使用した新しい検査法を目指しています。この検査が普及すれば認知症の早期発見が可能となり、症状の進行を遅らせたり、緩和する効果が期待できます。ただ、脳波の計測が簡便でないところが、大きな課題です。限られた時間の中でたくさんの検査を効率よく行うためには、簡便な方法でなければなりません。そのため、よりシンプルに計測できる電極や装置の研究開発も併せて行っています。

検査では、ディスプレイ上に文字盤を映し、文字をランダムに点滅させて脳に視覚的な刺激を与えます
脳波を使った検査技術について、将来的に田中教授が目指しているのは、コンピュータと脳波を測定する機材があれば被験者が一人でも検査できる環境づくり。研究室では、脳波を測定する機材をコンピュータと無線で接続し、耳の後ろに簡単に装着する装置の開発を進めています。「一人でも検査できるようになれば、自分だけで検査して、認知機能低下の疑いがあったら病院に行ってみるきっかけに繋がるでしょう」と田中教授。病気と診断される前のセルフケアが選択できる未来を描いています。

認知症の専門家である医師・心理士とともに、医工連携で研究を進める
新しい医療方法、新しい福祉機器、新しいヘルスケアソフトウェア、これらを使ったサービスを生み出すことを目指しています。病気と診断される前の中間状態に気づき病院に行く、そんな未来を一緒に実現しませんか。

大学で人とコンピュータを結ぶ技術と出合い、文字を綴る装置の開発へ
子どもの頃からサイボーグが登場するSF作品などに親しみ、義手を作ったり、失った視力を取り戻したりと、人間が失った機能を機械でカバーすることに興味を持っていた。研究者としては、身体障害者が機械を操作したり、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者が文字を綴ることができるような装置の開発からスタート。文字を綴る機械を研究する過程で、認知症の早期発見に興味を持ったことが、現在の研究につながる。
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