
関心の対象は、70℃以上もの高温や深海といった厳しい環境に生育する極限環境微生物の生きざまです。「どうして人も住めないような高温環境で生育できるのだろうか?」。この謎を解き明かすべく、特に微生物が生成する蛋白質に着目し、研究に取り組んでいます。研究においてキーワードとなるのが「シトクロムc」。水力発電が水の落下を利用してタービンを回し発電する仕組みにも似た、生物がエネルギーを生み出す装置の一部です。面白いことにこの仕組みは小さな微生物と同様に我々人間にもあるのです。多様な形態をもつ生物が、エネルギー代謝という根源的な部分で共通点をもっている。エネルギー代謝に関わる蛋白質の構造や機能の解明を通して「生物がエネルギーを得る仕組み」を明らかにしたいと考えています。

シトクロムcの研究では温度に対する環境適応性を調査し、構造から安定性をもたらす分子のメカニズムを探究
ゼミでは専門である自然科学分野に加えて、農業経営学をはじめとした人文科学分野・社会科学分野への展開を構想しているという三本木教授。特に着目したいテーマは「日本酒」だといいます。「日本酒の消費低迷を課題として設定し、生産加工から流通・販売促進・海外展開といった6次産業までを視野に取り組みたい」。日本酒もまた、教授の研究主題である“微生物によるエネルギー代謝”の一つの形(発酵・醸造)。本来の専門分野と組み合わせ、商学を学びの起こりとする広島修道大学の学びにマッチした独自の取り組みにつなげていきます。

「書くこと」を重視する三本木教授。授業では書画カメラを活用し、五感をフル活用することにより理解を促す
「農学」には、さまざまな学びの要素が詰まっています。生物学、社会科学、人文科学など、文理が融合した幅広い学問の集合体が農学なのです。学びを通して、関心のもてるテーマや将来の目標をぜひ見つけてください。

「困ったことがあれば微生物が教えてくれる」。恩師の言葉を糧に、生命の謎を微生物に問い続ける三本木教授
専門分野/微生物学、蛋白質科学
略歴/東京大学農学部農芸化学科を卒業後、同大学院農学系研究科農芸化学専攻修士課程・博士課程を修了。イギリス・オックスフォード大学生化学科にて博士研究員を務める。その後大阪大学産業科学研究所、広島大学生物生産学部および同大学院生物圏科学研究科・統合生命科学研究科で研究および後進の指導に携わる。2025年4月より現職。農学博士。
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