東京大学医学部附属病院での半年間で、薬剤部の各部署業務を一通り体験。薬のスペシャリストとしてはもちろん、ゼネラリストとしても成長できたと思います。病院には調剤室や病棟だけでなく、手術室やERなど全ての部署に薬剤師がいます。薬剤師は薬を調剤するだけではありません。例えば「整形外科で利き腕を手術して使えない患者さんが、どうやったら薬をうまく飲めるか?」など、患者さんと一緒になって研究します。幼い子どもが薬を飲みたがらない時は、何度も病床を訪ねて、お子様に薬のことを丁寧にわかりやすく説明。理解してもらう努力をします。患者さんの入院中だけではなく、退院後のフォローにも気を配るのが病院薬剤師の仕事です。
子どもの頃は、薬が身体の中でどうやって効くのか、とても不思議に思っていました。また植物が薬になる「東洋医学」にも関心を持っていたことを覚えています。そのことがきっかけとなって薬学に興味を抱き、薬学部への進学へと繋がりました。以前、まだ病棟薬剤師の配置が世間的に進んでいなかった頃、家族が入院した時期があったのですが、当時は医師や看護師は身近にいるのに、薬剤師の姿が見えないことをとても不思議に感じて「病院での薬剤師はどのような仕事をしているのだろう」と興味を持ちました。このような体験から、病院の薬剤師を目指すようになり、東京大学医学部附属病院の薬剤部へ入職しました。
薬剤師の実際の仕事の現場は、大学で習った通りのことばかりではありません。仕事自体も多様ですが、これに症状や日々の状況といった要素も加わりますので、臨機応変な応用力がとても大切になってきます。そんな時、基礎がしっかりしていないと応用が利きません。やはり基礎がなにより大切だということを、覚えていてください。
東京大学医学部附属病院 薬剤部勤務/薬学部 薬学科/2017年卒