「薬剤学研究室」の研究テーマのひとつが、がん治療薬などの薬物を「目的の場所に」「目的の時間で」「目的の量を」的確に到達させる、ドラッグデリバリーシステム(DDS)。例えば、抗がん剤は病巣部位のがん細胞のみに到達するのではなく、血液を介して全身に分布します。結果、毛根細胞に影響を与えて髪の毛が抜けたり、腸の細胞を破壊して下痢をするなどの副作用を引き起こすのです。がん組織はがん細胞だけのかたまりでありません。がんの生命活動に必要な栄養や酸素を摂るための血管がたくさん分布しています。ライフラインであるこの血管を破壊できれば、がんは栄養や酸素を摂ることができなくなり、死滅します。そこで、正常な血管には反応せず、がんの血管にのみ細胞死を誘導する「がん血管を標的としたがん治療薬の開発」を行っています。
「昭和薬科大学は温かい校風が魅力。授業やゼミも明るい笑い声で溢れています」と話す小泉先生。「薬剤師は病気に苦しむ患者さんに寄り添う職業。知識や能力と同様、一緒にいて安心できることが重要です」。実習先からは穏やかな昭薬生のキャラクターを褒めてもらうことも多いといいます。また、自分のやりたい研究に自発的に取り組む環境やサポート体制も用意されています。「以前は、6年間で学生に成長してもらうにはどうしたらいいか悩みましたが、自ら学んで成長するものだと最近気づきました。教員が学生から学ぶことも多いです」。
勉強と研究の共通点は、知的好奇心を刺激してくれるところ。ぜひ好奇心全開で取り組んでください。研究活動も一人一人が楽しむということを最優先で指導しています。もちろん自分が一番楽しんでいますよ!
専門/薬剤学
昭和薬科大学出身。2005年博士課程修了後、外部で1年間研究を行い、2006年に昭和薬科大学の教員として迎え入れられた。着任当時、教授からは「研究の推進力になってほしい」という言葉をもらったという。現在は、1日が24時間しかないことにストレスを感じるほどの研究好き。学生の見本となるような研究姿勢を示しながら、学生と教授を結ぶパイプ役でありたいと考えている。