
UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)で約10年間、アフリカに赴任し、難民保護などに携わってきました。その経験を生かし、難民、紛争、アフリカ政治を専門に研究しています。研究では、紛争地域に派兵された元兵士や紛争を目撃した難民などへの聞き取り調査を重視してきました。なぜなら、政府、勝者、エリート、グローバル・ノースの視点で語られがちなグローバル・サウスの紛争の歴史や既存の学問と、紛争地域で起きている実態が全然異なることがあるからです。教育の場でも「下から」の視点を大切に考え、授業に難民申請者を招いて当事者の声に直接触れる機会も設けています。日本でも難民や移民が増えるなか、その人たちはなぜ来たのか、どのような問題に直面しているのか、教科書やメディアの知識にとどまらず、学生と共に共生について考えたいです。

学生は難民申請者から苦労話や将来の希望を聞くことで、遠い存在だった難民が身近に感じるようになる
このフィールド・スタディは、アパルトヘイトの歴史や外国人嫌悪、ガザにおける「ジェノサイド」と南アフリカの国際司法の役割に関する学びを中心に行われました。博物館見学、黒人専用居住区への訪問、難民の職業訓練見学、反アパルトヘイト運動家や移民・難民との対話の時間など、現地の人々の声に直接触れる機会が多くあります。偏見が生む分断や経済格差、政治など複雑に絡み合う問題を前に、教科書だけでは得られない視点が広がります。世界の課題を自分ごととして考え、グローバル社会で行動する力につながります。

マンデラ元大統領が獄中生活を過ごした世界遺産ロベン島で、元囚人のガイドが案内しているところ
関心を持ったことがあれば現場に足を運び、さまざまな人々の声に耳を傾け、その背景に触れてみてください。与えられた情報だけで判断せず、当事者の視点から考えることで物事の本質がより深く見えてきます。

「難民などの弱者の経験や見解を学び、常に弱者への『利他』の精神を持つ力を身につけてください」
神戸女学院大学文学部英文学科(文学士),University of Diploma in Social Science, Master of Social Science in International Relations,博士(学術)
国連職員としてアフリカ約10か国で人道支援や難民保護に携わる。「世界最悪の紛争地」とも呼ばれるコンゴ民主共和国と隣国ルワンダでは長期間現場に関わり、現在も両国を主な研究対象として武力紛争の長期化の背景や難民の実態、和平に向けたプロセスを研究している。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



