企業が製品をつくるとき、いかに環境負荷を削減するかが大きな課題になっています。そのため注目されているのが、原材料の調達から生産、流通、販売まで排出される温室効果ガスをCO2に換算する「カーボンフットプリント(CFP)」です。CFPによりCO2排出量が「見える化」されると、排出削減を進めやすくなるからです。CFPの算定方法においては、算定精度の向上に向けた検討が注目されています。私はデジタル技術を活用し、CFPをシミュレーションにより算定する新しい方法の開発に産学連携で取り組んでいます。ヨーロッパでは、EVバッテリーにおけるCFPの申告が、これから義務化されるなど、グローバルに展開する企業ほど、CFP算定は「待ったなし」の課題なのです。経営に不可欠となる手法の開発に、やりがいと緊張感を持って取り組んでいます。
大久保研究室では、生産性を向上し、環境への負荷も削減することを考えるための教育を行い、学生に実践的な知識と技術を指導しています。「まずは企業現場の課題を知ってもらうことが大切。そのため工場見学や社員へのインタビューを行います。そして、3年次には他大学と合同で企業の人に向けた研究発表を行い、自分たちで考えた解決策を発信する経験をしてもらいます」(大久保先生)。「将来は、シミュレーションやITなどデータサイエンスを活かして、業務改善の提案ができるマネージャーになってほしい」というのが先生の願いです。
机の上で考えるだけでなく、企業の現場に近いところでチャレンジしたいという気概がある人は大歓迎!確率や統計に興味があれば、高校数学が苦手でも問題ありません。スポーツや趣味で頑張ってきた人にも期待します。
早稲田大学大学院理工学研究科機械工学専攻経営システム工学専門分野単位取得満期退学。博士(工学)。早稲田大学助手、岡山大学システム工学科助教を経て、2012年東京都市大学知識工学部経営システム工学科(現・情報工学部知能情報工学科)に着任。2019年環境学部環境経営システム学科准教授に。2023年東京都市大学デザイン・データ科学部デザイン・データ科学科に着任。日本経営工学会関東支部支部長を務める。