
「土木=数値と計算」というイメージを持っていませんか?この授業では、自分の身体を物差しにしてまちを歩き、一人称の体験から豊かなインフラを設計する視点を養います。まちづくりには、丈夫な構造物だけでなく、人々にとって居心地の良い環境が欠かせません。そんな環境の実現に求められるのは、図面に向き合うだけでは見えてこない「現場の空気感」や「利用者の視点」に気づく力です。この力こそが、真に豊かな社会づくりの土台となります。主観的な「経験」と客観的な「技術」を融合させ、文理の枠を超えた視点で未来のまちを構想していくのです。このような土木の新しいあり方を身につけるため、「3年生までに培った問題解決能力に加え、4年生では自ら問いを立て、課題を発見する力を修得してほしい」と、金澤准教授は語ります。

通学ルートなど日常的に使用する場所で新たな発見ができる楽しさが魅力の一つ
「シビルエンジニアリングデザインセミナー」の舞台は、教室ではなく学外です。大学近くの河川や山鼻エリアをフィールドに、学生たちは何度も散策を繰り返します。ただ歩くのではなく、郷土史家や技術者のレクチャーを受けることで、何気ない景色の裏にある土木技術や歴史が紐解かれていきます。知識を得た後に再びまちへ出ると、見慣れた景色が全く違って見えるとのこと。こうした「そういうことだったのか!」と驚く体験を通じて、学生一人ひとりが、自身の感覚が更新されていく面白さを体感できます。

知識を得ることで新たな視点・思考を身につけます
授業で使用する調査ツールは、身近なスマートフォンと紙の地図です。アプリでGPSルートを記録し、写真を撮る一方で、白地図には「ここで風を感じた」といった身体感覚をカラーペンで書き込みます。デジタルでは捉えきれない主観的な情報をアナログで残すことで、感受性を育む工夫がなされています。さらに、見つけた景色と現地での体験を短い言葉で綴る「カードづくり」も行っており、溜まったカードを並べ替え、共通点や意味を見出す作業は、複雑な社会課題に対して学生たちが独自の「問い」を立てる力を養う機会となっています。

実際に足を運び調査することで社会課題をより身近に感じることができます
日常の風景に疑問を持つ「探究型」や、写真・言葉で空間の魅力を伝えたい「創造型」の方に最適です。理系科目が得意な方はもちろん、地理・歴史や現代文が好きな方も、その感性を存分に活かせる授業です。

取材日の講義担当教員は金澤准教授
この授業は、工学部社会環境工学科の4年生を対象とした前期必修科目です。主な活動場所は山鼻キャンパスおよびその周辺エリアとなっており、卒業研究への導入科目として位置づけられています。地震工学や構造力学を専門とする金澤准教授をはじめ、複数の教員がそれぞれの専門性を活かした独自のテーマを設定して指導しており、多角的な視点から土木工学の奥深さを学ぶことができます。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



