
東放時代の恩師からの教えは今も活かされています
役者の演出で心がけていることは、「役者さんとの対話」。なぜなら、よい作品を作るためには、何よりも役者さんと信頼関係が大切だと思うからです。私の初めての長篇作品となった2018年製作の映画『真っ赤な星』は、孤独を抱える14歳の少女と27歳の女性の日々をつづったストーリー。27歳の女性を演じた女優さんとは、お互いの過去をもさらけ出すほど、時間をかけていろいろな話をしました。密なコミュニケーションから、信頼関係が生まれたことで、互いの感覚まで共有できるようになってから撮影に臨んだからこそ、素晴らしいシーンがたくさん撮れたと思っています。
卒業制作の『溶ける』は、国内で高い評価を受け、「カンヌ国際映画祭」に正式出品されました。カンヌに行ったのは21歳のときでしたが、「最年少で選ばれた」という嬉しさよりも、悔しさのほうが印象に残っています。というのも、世界で活躍する名だたるスター俳優や映画監督がレッドカーペットを歩いている姿を近くで見ると、自分と世界との差をリアルに感じ、なんというか、とても悔しいという感情が湧きあがってきたんですね。でも、あのときの反骨精神こそが、その後の作品づくりの原動力になっています。これからも、映画だけにこだわることなく、ドラマやMV、PR映像など、あらゆる映像作品にどんどん挑戦していきたいと思っています。
東放学園時代は、「映画を作る上で、もっとも大切なこと」をたくさん教わりました。中でも「まずは自分の半径5メートル以内のことをきちんと描ききれ!」という講師の先生の言葉がとても心に残っています。この言葉にハッとして、作品づくりへの意識が変わりました。先生が私たちに伝えたかったのは、「自分はこういう人間なんだ」ということを作品の中で表明しながら、自分の名刺代わりになる作品を作りなさいということだと思うんです。そうして制作した卒業制作『溶ける』は、まさに私にとっての名刺代わりの作品になりました。これからも初心を忘れず、たくさんの人と協力しながらよりよい作品を作り出していきたいです。

フリーランス/映画制作科/2014年3月卒/北海道出身。ストーリー系とフィルムライクな映像トーンを得意とし、人物を透き通ったトーンで演出する。映画・ドラマの経験から会話劇も得意としており、企画・脚本・監督と幅広く活動中。在学中に制作した短篇映画『溶ける』は高い評価を受け、第70回カンヌ国際映画祭シネフォンダシオン部門に正式出品。その後、初長篇『真っ赤な星』で劇場デビュー。その他の監督作品として映画『愛されなくても別に』『NO CALL NO LIFE』『あの娘は知らない』、ドラマ『恋と知った日』(ABEMA)『けむたい妹とずるい妹』(テレビ東京系)などがある。
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