私は、作業療法士は人を幸せにする仕事だと思っています。授業にも陶芸や園芸などが含まれていますが、身の回りのことだけでなく、趣味を含めて日常生活のあらゆる活動が支援の対象なので枠にとらわれることがありません。作業療法士も患者さんも状態や希望に合わせて、自由な発想の中で回復を目指すことが可能です。病院勤務を経て、母校で作業療法学を教える教員になったいま意識しているのは、学生たちに学んでいることが現場とどのようにつながっているのかを伝えることです。作業療法の魅力や現場で知ることも多かったリハビリテーションの手技などを、学生たちに直接伝えられることにやりがいを感じています。
大学では座学だけでなくボディワークから木工、革細工にいたるまで様々な作業を体験できる授業が豊富にありました。中でも苗植えから収穫・調理まで学生が協力して取り組む農業体験と、実際に作品づくりを行う陶芸は印象に残っています。手先の動きの訓練になるだけでなく、自己表現ができたり集中力の向上やリラックス効果が感じられたりすることを、体験を通して学びました。いまは学生と一緒に楽しんでいます。また在学中は語学にも興味があったので、大学のカリキュラムにもあったオーストラリアへの短期留学にも参加しています。海外の文化に触れることで、視野を広げることもできました。
私は病院に8年勤務し、セラピストとしてだけでなく、回復期病棟のマネージャーとして入院患者さんの診療業務や入退院の支援、管理業務も経験しました。臨床現場で充実した時間を過ごしていたものの、何か違うことに挑戦したいと考えるようになったタイミングで母校に声をかけていただき、現在にいたります。大学では月に一度、予防ケアの一環として地域の方を招いて開催している「健康教室」を担当しています。現在は対面だけですが、ゆくゆくはオンライン対応とし、大学に足を運べない人たちとも交流できればと考えています。作業療法士は多様な分野で活躍できる仕事なので、就職してから将来を考えるのもよいと思います。
北海道文教大学 医療保健科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻 勤務/人間科学部 作業療法学科(現:医療保健科学部 リハビリテーション学科 作業療法学専攻)卒/2015年 卒/大学卒業後、神奈川県にあるIMSグループ新戸塚病院に入職。7年目に地元にあるIMS札幌内科リハビリテーション病院に転勤となり、マネージャーとして管理業務を担当。作業療法士として1~2名の患者さんを担当しながら、スタッフのタイムスケジュールの作成や指導に従事。転勤により恩師と再会し、予防リハビリテーションに関わる仕事のオファーを受け、病院の支援も大切だが患者さんの生活は退院後も考え、外部との連携を考えていたタイミングのため快諾し教員の道へ。