統計分析や機械学習などのデータサイエンスを、文章や絵画の研究に活かす取り組みを行っています。たとえば、文学作品を数値情報に変換して、その作家のクセをとらえようとする研究。私は『好色一代男』などを執筆した井原西鶴が書く文章の傾向を分析して、西鶴が亡くなった後に出版された作品に、弟子がどれぐらい手を加えているかを探りました。また、浮世絵の画像処理を行い、絵柄の流行の移り変わりを調査したこともあります。文系志向だった私がこの研究を始めた理由は、数学とは無関係に見える分野に数理的視点をもちこむことで、おもしろい発見がありそうだと感じたからです。データサイエンスが活かせる領域は、文系・理系に関わりません。ビジネス・娯楽・日常生活など、あらゆる現象にアプローチできる点が、この学問の魅力だと思います。
上阪先生が担当する1年次の「未来クリエーションプロジェクト」ではデータの処理や分析方法などを、同じく「スタディスキルズ」では調査用の質問紙の作成から報告書の作成までを実践的に学習。データサイエンスの基本を、体験しながら着実に理解していきます。また、いずれもグループワークを重視する点が特長。「調査や分析は、多くの人と協力しながら行うもの。目標に向かってチームで行動する力も身につけてほしい」と先生は言います。基礎を固めた後は、課題解決に挑戦する学びや、アプリケーションの開発などに取り組んでいきます。
私たちの回りはデータであふれています。データは、正しく扱えば仕事や生活に役立てることができますが、見方を誤れば混乱を招くこともあります。本学部で、データを正しく上手に使いこなす力を身につけましょう。
同志社大学大学院文化情報学研究科文化情報学専攻博士課程後期課程修了。同志社大学研究開発推進機構、大阪大学データビリティフロンティア機構、大阪大学数理・データ科学教育研究センターを経て、大阪成蹊大学へ。著書に『計量文献学の射程』(共著/勉誠出版/2016年)、『文学と言語コーパスのマイニング』(共著/岩波書店/2021年)、『コーパスによる日本語史研究 近世編』(共著/ひつじ書房/2023年)など。