私の担当は調理師科で、西洋料理の基礎を指導しています。この学校の新入生の約2割は、まったく料理をしたことがない学生です。「一生ものの技術を身につけたい」「食べるのが大好き」など、さまざまなモチベーションを持つ学生との出会いはすごく楽しいですね。まず授業で教えるのは、「包丁とは何か」ということ。調理のプロが使う包丁は家庭用とは異なり、刃渡りが長く、両刃のものもあります。慣れないうちは怖がる学生もいますが、野菜のカットで少しずつ慣れ、魚や肉の調理へと進んでいきます。1年次の目標は、「形や大きさをそろえて野菜をカット」、そして「魚の三枚おろし」ができることです。2年次には、こうした基礎を踏まえて卒業制作が始まります。原価計算・メニュー考案・調理・盛り付けなどを学生自身が考え、進めていきます。
指導において飯田先生が大切にしているのは、「失敗してもいいんだよ」と伝え、挑戦する姿勢を大切にすることです。なかなかうまくできないときは、先生が見本を見せながら「どうして失敗したのか」を細かくアドバイスしていきます。スキルアップを実感できる学内コンテストの機会もあり、1年次は、例年オムレツのコンテストを開催。2年次の卒業制作では、業界の一線で活躍するシェフらを招いて試食会を実施。学生たちには試食したトップシェフからの評価が伝えられ、大きな学びと成長を実感できる貴重な体験となっています。
料理人は愛情を込めた料理で、お客様に笑顔や感動を与えられる素晴らしい職業。料理の基礎と同時に、その楽しさや大切さを伝え、食材や生産者にも愛情をもって接することができる料理人を育てたいと思っています。
専門:西洋料理
略歴:フレンチのシェフとして長く活躍。専門学校で学んだ後、「フランス料理をやるなら、フランスで学びたい」という思いから27歳で渡仏。フランスの家庭料理に触れ、素朴でありながら温かみにあふれた料理、そして大らかなフランス人に魅了された。近年ではフードロス問題にも取り組み、食材を無駄にしない調理テクニックについても授業で伝えている。