
作業療法士は、病気やケガによって失われた「社会とのつながり」を回復し、その人らしい人生を取り戻すための支援を行うリハビリ職です。社会復帰は身体機能の回復だけでは実現しません。食事や身支度といった生活の基盤となる行為、学びや遊びを通じた自己表現、そして仕事などの社会参加を支えることが大切です。「ファッションやメイクも作業療法になる」と話す石田先生は、刑務所での更生支援にも携わる、世界的にも珍しい作業療法士です。洋服を通して自分を見つめ直し、他者との関係を再構築することで受刑者の社会復帰や再犯防止につなげています。授業では、こうした実践に触れながら医療の枠を超えて広がる作業療法の役割と、「自分らしさ」を取り戻し社会で生きる喜びを支える力を学びます。

線を引いたり、色を使ったり、絵画の中にある「作業」を分析し、その人に合った関わり方を考えます
授業では、絵画や園芸、ダンス、メイク、ファッションなど、さまざまな作業活動を取り上げ、作業を通して生まれる心の変化や、自分らしさの回復につながるプロセスを学びます。また、活動中の心理的な変化を観察・分析し、その人に合った作業を考えて提案する力も身につけます。絵画なら、水彩画の作業に混乱が見られる方には塗り絵を提案するなど、個々に応じた支援の視点を学びます。また、精神疾患のある患者さんを学内に招き、学生自身が作業療法のプランを立てる機会も。学生の発想に石田先生が驚かされることも多いといいます。

学生たちも作業療法を体験しながら、そこで生まれる心の変化や気づきを感じ取っていきます
ファッションやメイクを通して自分を好きになることで、自然と周囲や社会へ目が向き、「誰かと関わりたい」「何かに参加したい」という気持ちが生まれます。こうした変化が、社会とのつながりを取り戻すきっかけになります。また、相手や場面に合った服装を選ぶことで、新たな人間関係が生まれ、社会参加が促されます。石田先生が刑務所でファッションを教えているのも、こうした社会との接点をつくるためです。授業では、ファッションやメイクも作業療法として捉え、その人らしい人生を支えられるセラピストをめざします。

骨格診断やパーソナルカラー診断なども学びながら、「自分らしいファッションとは何か」を考えます
自分が好きな活動のプロになれなくても、自分が好きな活動を使って人を助けることができます。それが作業療法の魅力!自分の好きを誰かのために役立て、その人の人生を支える力に変えてみませんか。
【先生紹介】
石田 眞由 助教
作業療法士として老人保健施設等に5年間勤務するが、好きだったファッションに関わるため、アパレル業界へ転職。その後、恩師の勧めをきっかけに刑務所での更生支援に関わるように。当初は葛藤があったが、社会とのつながりを知らず、生きづらさを抱える受刑者と向き合う中で、作業療法とファッションを通して、社会で生きていくための適応力を育みたいと考えるようになったと話す。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。



