
一人ひとりの表現に向き合い、寄り添う姿勢を大切に
中学校の美術科教員として働く中で、何よりのやりがいは、生徒一人ひとりの小さな成長に立ち会えることです。美術の授業には正解がなく、生徒の数だけ表現があります。自分なりの表現を見つけ、前向きに変化していく生徒の姿を見ると、この仕事を選んでよかったと感じます。今後は、より「美術って面白い」と感じてもらえる授業づくりに挑戦していきたいと考えています。生徒にとって先生は最も身近な大人の一人だからこそ、教員としてだけでなく、一人の人間としても魅力的であり続けたい。画家としての制作や趣味の時間も大切にしながら、自分自身が成長し、人生を楽しむ姿も生徒たちに見せたいと思っています。
学生時代に最も力を入れていたのは、制作活動です。同じ専攻の仲間と夜遅くまで制作に没頭し、教授のもとへ何度も足を運んでアドバイスをもらいながら、自分の表現と真剣に向き合ってきました。卒業制作には1年間かけ、全力で取り組んだ経験が、今の自分の土台になっています。また、教職課程の先生方には、教員採用試験に向けて一対一で面接練習や試験対策を丁寧に見ていただき、大学4年生で合格できたのは、その支えがあったからこそだと感じています。専攻の先生も非常に面倒見が良く、制作の進捗を確認しながら、多くの助言をくださいました。大学で培った制作力と教育の視点は、現在の授業づくりや生徒指導に直結しています。

自分だけの表現を追い求めた卒業制作
教員という仕事は未来をつくる仕事です。「自分に向いているのか不安」と感じる人も多いと思いますが、最初から教員に向いている人はいません。私自身も、教員になる前は同じように悩んでいました。大切なのは、完璧を目指すことではなく、経験を積みながら学び続ける姿勢だと思います。学生時代は自由な時間が多い分、自律する力が求められますが、ぜひ好きなことに全力で打ち込みつつ、専門外の分野にも目を向けてみてください。私も美術と教育に加えて外国語を学んだことで、視野が大きく広がりました。さまざまな経験は、将来どんな道に進んでも必ず力になります。教員という仕事に興味があるなら、勇気を持って一歩踏み出してみてください。

試行錯誤を重ねてたどり着いた、表現の集大成

板橋区立板橋第三中学校勤務/美術学部 美術学科 コミュニケーションデザイン専攻/2023年卒/東京都出身。幼い頃から絵を描いたり、ものづくりが好きで、「美術の力を誰かのために役立てたい」という思いから教員の道に進んだ澤口さん。国立・公立大学の中でも「面白そうな先生が揃っていたから」と、秋田公立美術大学に進学。大学では制作に没頭し、仲間と切磋琢磨しながら表現力を磨いた。現在は授業や生徒指導に加え、不登校生徒向けのオンライン教材の開発にも取り組んでいる。職務で大切にしているのは「粘り強さ」。すぐに結果が出なくても、先輩から教わった「期待しない、でも諦めない」という言葉を胸に生徒一人ひとりと向き合い続けている。
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