バイトで研究時間を削られている大学院生が4人に1人!

高校生にとっては、「大学卒業後は就職するもの」というイメージが強いはず。しかし、実際は、卒業後すぐに就職するのは6割にすぎない。残りの4割にはもちろん就職も進学もできない層が多く含まれるが、大学院に進学する学生も卒業生全体の8人に1人と実は少なくない。特に理系の理学、工学などの分野では3~4割が大学院(修士課程*)に進学しているのだ。

 

*大学院には修士課程(博士前期課程)、専門職学位課程、博士課程(博士後期課程)などがある。大学卒業後に進学できるのは修士か専門職。

 

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このように、大学院で高度な専門性を身につけてから社会に出るというステップは十分ありうる選択肢の一つ。ただし、そこで浮上するのが学費や生活費の問題だ。家庭の経済状況が厳しくなっている今、親の負担を減らすためにアルバイトをする大学生は多いが、大学院生の場合は、さらに親に頼れないケースが増えてくる。これに関して、気になるデータが発表された。

 

全国大学院生協議会の「2012 年度 大学院生の経済実態に関するアンケート調査報告書」によると、大学院の初年度納付金の平均は、現在、国立 81.8 万円、公立 91.1 万円、私立修士 104 万円、私立博士89.3 万円と高額。一方で、大学院生の収入をみると、親などからの仕送りは「もらっていない」との回答が5割。奨学金の利用率は約6割に上り、アルバイトに従事している院生の割合は7割以上となっている。

 

しかし、大学院は、本来、授業やゼミに出席するだけでなく、修士論文・博士論文のための調査・研究にも多くの時間を要するもの。今回の調査では、この研究時間が十分に確保できていないとの回答が56.9%もあり、その理由としてアルバイトを挙げている大学院生は実に43.9%に上った。つまり、約4人に1人は「アルバイトのために研究時間が削られている」という本末転倒な事態に陥っていることになる。

 

大学卒業が近づいた頃に急遽大学院進学を決めた場合、親も学費の準備が難しい。自分でアルバイトをして賄おうとしても、実態は上記の通り。大学院進学に関心があるなら、できるだけ早めに学費や奨学金について調べ、親とも相談しておくことが必要だ。