高校3年生の夏休みに観るべき映画3選【ミニコラム】
高校3年生の夏休みといえば、受験の山場。毎日、塾に模試に補習に自宅での勉強にと忙しい日々を過ごしていることと思います。日々、受験勉強のことばかりを考えていると、「どうしてこの教科ばかり成績が伸びないんだろう」「本当に受かるのだろうか」と時々とてつもない不安に襲われることもありますね。そんなとき、友達に相談できればいいのですが、友達もまた受験生。あなたの話をゆっくり聞いている時間や余裕がない場合もあり、孤独を感じてしまうかもしれません。そんなとき、あなたの背中をそっと押してくれる映画をご紹介します。
銀の匙 Silver Spoon (2014年公開)
監督:吉田恵輔 キャスト:中島健人、広瀬アリスほか
荒川弘の漫画「銀の匙」を実写映画化した作品です。「銀の匙」はテレビアニメ化もされ、ご存知のかたも多いかと思います。主人公の八軒勇吾は、進学校でやる気を見出せずに「何がしたいのかわからない」と言いながら入学した農業高校で、馬の仕事をしたいと思いながら家の牧場を継がざるを得ない御影アキや、借金のために廃業となった実家の牧場のために学校を辞めざるを得なくなった駒場一郎と実習などを通じて心を通わせていきます。他の豚に劣る子豚に親近感を覚え「豚丼」と名前をつけますが、その豚は食用で、自らが育てた豚を出荷しなければいけないという日が来てしまいます。それぞれの登場人物が自分の力ではどうにもならない状況を受け入れ、それでも自分の道を見つけていく過程を見て欲しい作品です。
あん(2015年公開)
監督:河瀬直美 キャスト:樹木希林、永瀬正敏ほか
『殯(もがり)の森』 で第60回カンヌ国際映画祭の審査員特別大賞「グランプリ」を受賞した河瀬直美の作品です。どら焼き屋の店主をしている主人公の千太郎のもとへ、ある日「徳江」と名乗る老婆がアルバイトをしたいと押しかけます。最初は断る千太郎でしたが、徳江の作る「あん」の美味しさに惚れ込み、働いてもらうことになります。どら焼き屋の常連である中学生のワカナはやりたいこともなく、家庭環境で悩みます。徳江の作るあんが評判となり店は大繁盛を見せますが、その一方、ある噂が広まり店をたたまざるを得ない状況になってしまいます。千太郎とワカナは徳江のもとを訪ねますが、そこはある施設で、ゆるやかな牢獄でした。徳江が若いワカナに繰り返し言う「自由っていいわねえ」という言葉の意味を知って欲しい作品です。その気になればなんだってできる、大空のような自由な場所がそこにはある、という徳江のメッセージに気づけば、「私だってもっと自由に生きよう!」と受験勉強にも力が入ることでしょう。
はじまりのうた(2013年公開)
監督: ジョン・カーニー キャスト:キーラ・ナイトレイ、マーク・ラファロほか
第80回アカデミー賞歌曲賞受賞の『ONCE ダブリンの街角で』を撮ったジョン・カーニー監督の作品です。高校生になって楽器や音楽活動を始めたという人も多いのではないでしょうか。本作では、失恋して失意のうちにバーで歌っていたキーラ・ナイトレイ演じるグレタが、落ちぶれた音楽プロデューサーの目に留まり、新しい音楽を作っていく物語です。スタジオもない2人は、まずバンドメンバーを集めるところから始め、ニューヨークの街の中で、ときにはビルの屋上で、ときには地下鉄のホームで演奏し、レコーディングをしていきます。どん底から、有名バンドになるまでのサクセスストーリーで気分も明るくなること間違いなしです。また、作中で使用されている楽曲はどれも素晴らしく、勉強中のBGMにもおすすめです。
孤独に押しつぶされそうになったら映画を観よう
家族に相談しても「合格しなさい」としか言われない、友達にも迷惑をかけたくないから不安を抱え込むしかないという人は、映画を観てみてはいかがでしょうか。今回おすすめした作品はどれも「自分にもできる、可能性はまだある」と思える作品ばかりです。自分の気持ちの行き場がなくなってしまったときの参考にしてみてくださいね。