明治大学が「志願したい大学」4年連続1位、の理由
2012年7月リクルートの「進学ブランド力調査」が公表された。今年も関東、東海、関西の3エリアの大学について、約1万人の高校3年生に「就職に有利な大学は?」など、大学に対して抱くイメージを50項目にわたって調べている。
なかでも注目を集める「志願したい大学」の1位は、関東では明治大学だった。明治大学は2009年から4年連続首位を維持している。なぜ明治大学なのか。
真っ先に思い浮かぶのは、立地と設備だ。文系学部の1・2年次は渋谷・新宿駅から電車で数分の「明大前駅」徒歩3分にある和泉キャンパス、3・4年次は都心の一等地、「御茶ノ水駅」徒歩3分にある駿河台キャンパスという便利さ。
設備はというと、駿河台キャンパスのリバティータワー(1998年竣工)とガラス張りの外壁がまぶしいアカデミーコモン(2004年竣工)だ。高校生がオープンキャンパスでこれを見ると、必ずと言ってよいほど「すごい」と魅了されてしまう。
20年ほど前、駿河台キャンパスのイメージといえば、「バンカラ」で「少々古い(失礼!)」。その駿河台キャンパスがおしゃれできれいなタワーに生まれ変わったときには、その変身ぶりに多くの人が驚いたものである。そして、大学の価値を一気に押し上げたと思われる。
こうして獲得した人気に対し、大学側は2004年に情報コミュニケーション学部、2008年に国際日本学部を新設、既存の学部・学科も定員を増員し、受け皿を拡大してきた。
2012年度は早稲田大学を抜き、志願者数全国1位(1万3677人)を達成した。
2013年度は新宿にほど近い中野キャンパスを新設し、そこに新設の総合数理学部を設置する。明治大学の拡大路線は、現在も着々と進行中なのだ。
ブランド力とは不思議なもの。車ならベンツ、バッグならルイ・ヴィトンなど、日本では多くの人が「高級」というイメージを共有するブランドがある。すると「高級なイメージ」という価値を評価して買う人が現れる。それによってますます、そのブランドがもつ他社と差別化されたイメージが定着する。
今回の調査のほかの項目を見ても、明治大学は「キャンパスがきれい」1位、「親しみやすい」1位、「明るい」1位、「自由な」2位、「校風や雰囲気がよい」2位、「活気がある感じがする」3位(以上すべて関東エリア)などで、上位にランキングしている。
さらに近年では「おしゃれな」(7位)というイメージが加わり、女子の志願度ランキングが上昇。ますますブランド力を高めている。こうしてみると4年連続「志願したい大学」1位は、明治大学が10年以上かけて行ってきた「ブランド戦略の勝利」といえるのかもしれない。
ちなみに、「志願したい大学」は、東海エリアでは名古屋大学、関西エリアでは関西大学が1位である。場所が変わればブランドの価値も変わる。明治大学の話も、首都圏に住む人以外はいまいちピンとこないだろう。
ブランド力は確かに一つの選択基準ではあるが、それは変動する可能性があり、広い目で見れば通用しないこともある。評判やイメージにとらわれず、見学に行ったり、話を聞いたりして、実際に自分で確かめる作業が欠かせない。「今ある価値」だけでなく、「将来にわたって存続する価値」があるかどうかという選択基準をもつことが、これからますます重要になるだろう。
●リクナビ進学「オープンキャンパスに行こう!」コーナー