高校の定期テスト対策!いつから始める?科目ごとのポイントは?高得点を狙える勉強法

目前にせまった定期テストを前に、いざテスト勉強を始めようと思っても、いったい何から手をつけていいのかわからない…という人はいないだろうか。

そこで、勉強スケジュールの立て方、教科ごとの対策、勉強に集中するコツなどを教員歴37年の堀先生に聞いてみた。


アドバイスをくれるのは
堀浩司先生
堀浩司先生
滋賀県の公立高校に教員として37年つとめ、長年進路指導を担当。
現在は、龍谷大学高大連携推進室フェロー。
旺文社 蛍雪アドバイザー、(株)さんぽう専任講師としても活躍中のテスト対策のプロ。

定期テストとは

定期テストとは

まずは、定期テストの目的をしっかりと理解しよう

高校の定期テストとは、いつ、どのような目的で実施されるものだろうか。
定期テストとは、ひとつの学期に2回、実施されるテストのことです。

学期の前半に行われるのが中間テスト、後半に行われるのが期末テスト、学年末に行うものを学年末テストと呼ぶこともあります。

中学校のテストとは違って、高校の定期テストは範囲が広いので、最低でも2週間前からの対策が必要になります」(堀先生)

定期テストってなんのためにあるの?

「どうしてテスト勉強をしなければいけないの?」と誰もが一度は考えてしまうもの。

目標をはっきりさせてテスト勉強に集中するため、改めて堀先生に定期テストがなぜ重要なのかを聞いてみた。
「定期テストは、授業で学んだ内容が、きちんと身についているかをチェックし、成績評価に反映するために行われます。

学期ごとの成績(評価)の最も重要な評価材料になります」
評定平均に大きく影響する定期テスト。

学校推薦型選抜を考えている人にとっては、定期テストでしっかり高得点を取り、評定平均を上げることが重要になる。

また、一般選抜を考えている人にとっても、入試問題に取り組むための基礎力を固めるのに欠かせないものだ。

<定期テスト対策>高得点を狙うために必要なこと

1. テスト勉強に必要なものをそろえる

テスト勉強を始める前には、どのような準備をすればいいのだろうか。
筆記用具、教科書、ノート、ワークや問題集などの参考書、授業中に配られたプリントなど、勉強に必要なものは、あらかじめ準備しましょう。

プリントは、すべてそろっているか確認し、抜けていたら友達にコピーさせてもらうか、先生にもらえないか聞いてみましょう
勉強を始めてから、「あれがない、これがない」と探すと、せっかくの集中が途切れてしまう。

定期テストの勉強は、準備が肝心のようだ。

2. テスト勉強の計画を立てる

テスト勉強の計画を立てる

定期テスト対策は計画が大事。余裕をもって始めるのがおすすめ

定期テストで高得点を取れるかどうかは、「テスト勉強の計画」にかかっていると堀先生。

「計画を立てるには、まずは教科ごとに『この範囲の単語を覚える』『問題集を3回解く』『教科書の太字を暗記する』などやることをリストアップしましょう。

リストアップができたら、だいたいでいいので、それぞれの項目にかかる時間の目安を立てます。

この時間を足し算して、テストまでの日数で割ると、1日の勉強時間が計算できますね。

次に、リストアップした項目の中で、特にやっておきたいことや、重要範囲だというところに印をつけて、優先順位をつけてみましょう。

そして、優先順位が高いものから勉強する日を決めていくと、その日にやるべき勉強が明らかになって、何から始めればいいかわからないと悩まなくても済みます」
そうなると、テスト勉強はいったいいつから始めればいいのだろうか。
「高校の定期テストは中学よりも科目が多いので、最低でも10日前から、ものによっては2週間前の段階で始めておく必要があります。

部活動が停止するのはだいたい1週間前からですが、1週間前には職員室が入室禁止になる学校も多いので、先生に質問したいことがある場合は、その前に済ませておくようにしましょう

3. テスト勉強に集中する

せっかく勉強を始めても、LINEの通知で中断させられたり、わからない問題にぶつかった途端にやる気がなくなったりと、集中力が続かないのもテスト勉強あるある。

集中力を高めるにはどうしたらいいのか、堀先生に、テスト勉強に集中する3つのコツを教えてもらった。
1.自分へのごほうびを決める

「○○が終わったらお気に入りの動画を見る、○○が暗記できたらスイーツを食べるなど、ごほうびを決めて始めると、その目標に向かって頑張ることができます。

脳はせっかちなので、達成したのにごほうびを先延ばしにされるとすぐにやる気をなくしてしまいます。

最低でも、1週間に1日は『リフレッシュデー』を設けて好きなことをしましょう。

日曜日をリフレッシュデーにすると、『昨日は休んだから今週も頑張るぞ!』と気持ちを切り替えて次の1週間をスタートできます
 
2.宣言してから始める

“有言実行”という言葉があるように、自分にプレッシャーをかけて、集中するという方法もあります。

家族や友達に『今日中にこれを終わらせる!』と宣言して始めましょう。


インスタやツイッターなどのSNSを活用して、『今から○時間勉強する』『○○を覚える』と宣言するのもおすすめです」
 
3.勉強の量ではなく時間で休憩する

テスト勉強の時間配分は、ここまで終わらせたら休憩ではなく、○時までやったら休憩のように、時間で区切るようにしましょう。

休憩も取りやすく、勉強のペースにもメリハリがつきます。

おすすめはタイマーで時間を計り、50分勉強+10分休憩のセットを繰り返すこと。


休憩時間になったら、キリが悪くても予定通り休憩にして、トイレに行く、おやつを食べるなどして気持ちを切り替えましょう。

『キリが悪くて気持ちが悪いな』と思うと、次の時間にすぐに集中モードに入れるというのは人間の心理です。

キリが良く終わったら、休憩する前に次に勉強する教科書やノートを開いておきましょう。

事前の準備ができていると、すぐに次の勉強に取り掛かれます
また、堀先生は、集中モードに入るためには、勉強を始めてからの30分間が大切と強調する。
人間の集中力を表した『集中曲線』を見ると、脳が『集中モード』に達するまでには、平均すると30分程度かかるといわれています。

その30分間に、何かで勉強を邪魔されてしまうと、集中力は0に戻り、また1から高めなおすことに。

これを繰り返すと、気力がなくなり、「もうだめだ、集中できない!」という状態に陥ってしまいます。

これを「地獄のリターン運動」と言います。

ですから、勉強するときは必ずスマホはマナーモードにしましょう。

家族の声掛けによって集中力が途切れることもあるので、ドアに『勉強しているから話しかけないでね』と張り紙をしておく方法もおすすめです」

<定期テスト対策>科目ごとの勉強法

科目別 効果的な定期テスト勉強法

ポイントを押さえて効果的なテスト勉強をしよう

定期テストで高得点を狙うための勉強法とは、どのようなものだろうか。
「全科目に共通して言えることですが、よい勉強法と悪い勉強法があるかというとそうではありません。

例え要領が悪くても、時間をかければ点数にはつながるもの。

まずは量をこなす、「量」をこなしているうちに「質」が高まってくるのです。

次に、記憶の刷り込み(=INTAKE)を心がけましょう。

丸暗記ではなく、意味づけをすると記憶が定着しやすくなるという脳科学の研究結果があります」

コツコツと時間をかけて量をこなすことと、確実にアウトプットできる覚え方をすることが重要なようだ。

では、各科目別に詳しく見てみよう。

英語は音読が決め手

英語の定期テストというと、出題の多くが教科書の内容について問う問題。

教科書の英文を効率よく覚えるには、「音読するのが効果的」と堀先生。
ただ声に出すだけでなく、内容をイメージしながら音読すると、記憶に定着しやすくなります。

また、テストでは「英語で問われ、英文で答える」という問題もあるので、教科書の内容を覚えるときは、日本語に訳さないで、英文のまま、頭の中に叩き込むようにしましょう

数学は例題を暗記する勢いで解く

苦手な人にありがちなのが、頭の中で問題と公式が結びつかないというケース。

そんな人は、「まだまだ演習の量が足りない証拠」だと堀先生は言う。
「教科書やワークの例題や章末問題を、暗記するまで解きましょう。

例題を暗記すれば、解き方を応用して難易度の高い問題にも挑戦できるようになります

国語(現代文、古文、漢文)は勉強する順番がポイント

国語は現代文、古文、漢文などの分野があるが、いったい、どの分野から勉強を進めたらいいのだろうか。
「日ごろの予習のしかた、授業での理解度によって異なりますが、「知識」=「得点」になる分野に、まず時間をかけるのがおすすめです。

漢文→古文→現代文の順に、知識が得点につながるウエイトが大きいと言えるでしょう。

それぞれの分野でも、古文なら文法(特に助動詞・助詞・敬語)、現代文なら漢字・語句の意味・文学史など『覚えたら点数が取れる』部分から勉強を進めていくのが効率的ですね

理科(生物、物理、化学、地学)は解き方を暗記する

「生物や物理などの理科系科目も、数学と同じように例題は暗記するまで徹底的に頭に叩き込みましょう」と堀先生。
「物理は計算問題のウエイトが大きく、数学の勉強法と似ています。

例題を『なぜこの答えになるのか?』という理屈が分かるまで解きましょう。

理屈を理解したら、同じジャンルの問題を演習し、出題の仕方が変わっても解けるかどうか確認しましょう。
 
暗記ものが多い生物や地学は、社会と勉強法が似ています。

まずは教科書の太字などの基本用語を、自分で説明できるまで覚えます
用語がなかなか覚えられないときは、用語の説明を自分なりに考え、ノートにまとめるという方法もおすすめ。

自分の言葉で説明を考えて書くことで、あとで思い出しやすくなる。
「計算問題もあり、暗記ものもある化学は、両方の対策が必要です。

計算をともなう問題については、式を頭に入れるだけでなく、問題集で演習を繰り返していろいろな出題パターンに慣れておきましょう。」

社会(地理、倫理政経、現代社会、世界史、日本史)は用語に力をいれる

社会(地理、倫理政経、現代社会、世界史、日本史)は用語に力をいれる
社会系の科目は、問題集がない場合が多く、どれくらい覚えたのか達成度をチェックするのが難しい。

その場合は、「教科書に出てくる太文字や重要なことがらを自分で説明できるようになること」を目指そうと堀先生。
用語を聞くだけで、“教科書の右ページの真ん中あたりに書いてあった用語だ!”というレベルになることが目標。

書店で購入できる用語集を使って勉強するのもおすすめです。

年表やできごとが思い出せない人は、自分なりに語呂合わせを考えるのもいいと思います。

例えば、1582年の本能寺の変を覚えるのに、ただ『1582年、本能寺の変…』と繰り返すよりも、『イチゴパンツ(1582)で信長自害』のほうが覚えやすいですよね」
◆暗記教科の勉強の仕方は?
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記憶を定着させる方法として堀先生がおすすめするのが、“記憶の3度塗り”だ。
「1回目は色鉛筆を斜めに持って全体をさっと塗る。

2回目は、余白が目立つところ(テコ入れが必要な分野)をていねいに塗る。

3回目は、再度全体を見渡し、色を塗れていない分野を塗りなおすというように、記憶を重ねていくイメージです。

英単語を100語覚えるなら、1日目は100語すべてに目を通し、2日目は特に覚えられなかった単語を重点的に、3日目は1日目と2日目で覚えられなかった単語をもう一度確認しましょう。

3回繰り返すことで記憶が定着しやすくなります

実技系科目は事前の準備がカギ

高校生になってから、技術家庭科や保健体育などの実技系教科も内容が濃くなり、定期テスト対策に追われるという声もある。

どうしたらよいだろうか。
「対策としては、プリントや教材など、「ここから出すぞ!」と言われていた範囲をしっかり確認しましょう。

実技系教科は、そもそもペーパーテストに出題できる範囲が少ないので、実は他の教科よりも点数が取りやすいケースもあります」
◆苦手科目・分野の勉強のしかたは?
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苦手分野のテスト勉強がなかなか進まない…という人は、次のような方法を試してみよう。
心理学でいうところの“ザイアンス効果”を利用してみましょう。

“会う回数が多いほど相手に好意を抱きやすくなる”という原理で、『何度も接することで好きになる』というやり方。

つまり、スキマ時間に教科書をパラパラと見たり、簡単な問題を少しずつ解いていくことによって、苦手な科目も好きになる可能性が高まるということです」

定期テストの勉強をがんばる意味

自分自身の未来のために取り組もう

最後に、定期テストの勉強をがんばる意味を改めて考えてみよう

 定期テストの勉強をがんばることは、基礎力の強化や進路選択の幅を広げるために大切だが、長い目で見て、もっと大きな意味があると堀先生は言う。
「なぜテスト勉強をするのか、その答えは『自分の人生を豊かにするため』です。

例えば、国語の勉強を頑張ってたくさんの言葉を身につけると、『話が面白い魅力的な人』になれますよね。

また、テスト勉強を頑張ってきた人には、目標をもって努力する力、自分で考えて動く行動力、質問するコミュニケーション能力が自然と身についています。

テスト勉強を頑張って目標とする大学に進学できれば、こういう人たちに囲まれて過ごすことになり、お互いに高めあえる友達や恋人ができますね。

定期テストは、そんな人生を豊かにするための知識や能力がどのくらい身についたのか、確認できるいい機会になります。

『テストを乗り越えて、また少し賢くなったぞ!』と思えるよう、『自分のために』勉強しましょう
テスト勉強を頑張ることが自分の未来に繋がっていくのなら、前向きに取り組もうという気持ちになれそうだ。

ぜひ、今回の記事のアドバイスを参考に、計画的にテスト勉強を進めてほしい。

 
取材・文/インパクト 監修/堀浩司 構成/寺崎彩乃(本誌)


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