ノートの取り方で成績が上がる!テスト勉強に役立つ!復習しやすい!ノート作りのポイント
学校で先生に言われた通りにノートを取っていても、ただ黒板を書き写しただけで終わっていては、テスト勉強に役立つノートにはならない。ノートの正しい取り方は、目的を持って書くことが第一。
そして、必ず後から見直して、書き足して、ノートを育てていくことが大事になる。
どうすれば成績が上がるノートになるのか、テスト勉強に役立ち、復習しやすいノートを作ることができるのか。
小学生から東大合格生まで、たくさんの生徒や学生たちのノートを取材して、数多くのノートの取り方について執筆している太田あやさんに教えてもらった。
目次
太田あやさん
石川県出身のフリーライター。
小学生~高校生向け通信教育講座の編集を経て、フリーライターに転身。
以後は教育分野を中心に執筆活動を行っている。
キャンパスノート(ドット入り罫線)を株式会社KOKUYOと共同開発。
著書に『東大合格生のノートはかならず美しい』『東大合格生のノートはどうして美しいのか』『東大合格生の秘密の「勝負ノート」』(以上、文藝春秋)、『マンガでわかる! 頭を鍛える 東大ノート術』(宝島社)、『非進学校出身東大生が高校時代にしてたこと』(小学館)など多数。
そもそも何で授業中にノートを取るの?必要なの?
授業の復習をして自主学習に活用するために必要
黒板の内容だけでなく、先生の解説を聞いて補足をしたり、覚えておくべきだと思ったことや疑問点なども書いておいたりすることで、授業の復習やテスト勉強にも使えます。
ノートの取り方に正解はなく、まずノートを取る目的を明確にして、その目的を達成するために、自分にとって一番やりやすい方法で、ノートを取ることが肝心です」(太田さん)
ノートには大きく分けて2種類ある
ノートには、授業中に板書や先生の発言を書き留める「授業ノート」と問題演習や暗記をするために使用する「復習ノート」があると、太田さんは言う。それぞれ、どのようなものなのか、どのようなことに気をつけたらいいのか、詳しく見てみよう。
「授業ノート」の心構え
「授業ノート」とは実際に授業中に取るノートのこと。しかし、ただ黒板の内容を書き写しただけは、十分とは言えない。
・先生の発言を最優先して書く
・ノートを書く目的とルールを決める
「授業ノート」には黒板の内容・先生の解説・自分が思ったことを書く
ただ黒板を書き写すだけでなく、授業内容をその場で理解して、先生の解説や自分の心の動きも書きとめておきましょう。
後から見直したときに、その授業内容が再現できるようなノートを目指してください。
箇条書きで、いかに簡潔に書くかがポイント。
高校生になると科目数も学ぶ範囲も広くなり、授業ノートとは別にまとめノートを作り直すのは大変なので、いかに授業ノートをテスト勉強にも使えるようにするかが重要です。
そこを意識しながら、授業中にノートを取るといいと思います」(太田さん)
「授業ノート」を書く目的とルールを決める
まず最初に、授業内容を理解するためにノートを取るのか、見直しをしやすくするためにノートに書くのか、定期テストの勉強に使えるノートを作りたいのか、授業ノートの目的を明確することが大事です。
先生に『ここはテストに出るからノートに書きなさい』と言われて、受け身でノートを取ってきた人も多いと思いますが、ノートは主体的に書いていかないと、勉強に役立つノートにはなりません。ノートには、自分が必要だと思ったことは何を書いてもいいのです。
まず、自分でノートを書く目的を決めて、ルールを決めましょう。
後半で紹介する「テク」も参考にしてください。
もちろん、すぐにはできないと思うので、試行錯誤をしながら、自分に合ったノートの書き方をみつけていってほしいですね。
友達のノートを見せてもらったり、ノートアプリやSNSなども参考にして、いろいろなノートを見てみるといいでしょう」(太田さん)
「授業ノート」を見直して育てていく
授業中に書ききれないことがあったり、先生の解説を書きもらしたりすることもあるので、家に帰ってからでもいいので、必ず5分から10分の授業ノート見直しタイムをつくりましょう。
解説で書ききれなかったことを教科書や参考書で調べて書いたり、自分が大事だと思ったところにチェックを入れておいたり、少しでもいいから見直す時間をとって、まだ授業の記憶が新しいうちに情報を増やしておくといいですね。
見直しをすることで授業の内容を思い出すことができて、記憶の定着も図れます。
さらに、テスト期間中に、授業ノートを見て勉強していくなかで、例えば問題を解いて、これは授業ノートに書いてなかったな、これはどうしても覚えられないな、と思ったことをどんどん授業ノートに追加して書いていきましょう。
授業中にノートを取るときに余白を多く取っておくのは、見直して書き足すためなのです。
覚えられない漢字を大きくノートに書いたり、自分ができなかった問題を授業ノートに追加していったり、とにかくテストまでに授業ノートにどんどん情報を入れていって、授業ノートを『まとめノート』として育てていくと、自分専用の参考書にもなっていきますよ」(太田さん)
「授業ノート」の上手な作り方テク
ここからは、実際に授業中にノートを取るときに重要なポイントを解説していく。
すぐに使えるテクばかりなので、ぜひ実践してほしい。
先生の発言や自分が疑問に思ったことを優先的に書く
黒板の内容は、黒板が消されるまで残っているし、友達のノートを見せてもらうこともできますが、先生の発言はその場でしか書けません。
新しい用語の解説、問題の解き方の手順、知らなかった豆知識など、そこにこそ、自分のノートのオリジナリティーや、授業内容を理解したり、記憶したりするためのきっかけになるものがつまっています。
その次に自分が疑問に思ったこと、感じたことを優先的に書くといいでしょう。
『ここは大切だな』『ちょっと苦手かも…』『テストに出そう』『おもしろい!』などなど。
人それぞれ、ひっかかるところは違うし、なるほどと思うことも変わってくるはず。
そこを大事にして、とにかくメモを増やしていくと、授業の受け方も受動的ではなく主体的になります。
黒板を写す時間がなければ、ノートにラインを1本引いて板書分のスペースを残しておき、休み時間に書いたり、友達に見せてもらったりすればいいと思いますよ」(太田さん)
ノートの1ページをラインで仕切る
ラインを引いて仕切ることで幅が狭くなって書きやすくなります。
例えば、左半分は黒板の内容、右半分は解説と自分が思ったこと、というように、それぞれ書く場所に役割をつけてあげると整理しやすいでしょう。
ラインを引くのが嫌なら、折り目をつけるだけでもOK。
軽く折り目をつけておくだけなら越境しやすいので、あまりストレスにならずに書けますよ。
さらに、自分が感じたことの欄には、その授業のときの気分、先生の服装でもいいので、日記感覚で何かメモしたり、コメントを入れておいたりすると、見直すときにおもしろくなると思います。
例えば、先生があの服を着ていたときに、こんな話をしていたな、などど、授業内容や暗記したことをテストのときに思い出すヒントになるかもしれませんよ」(太田さん)
文頭をそろえる
まず大きなテーマ(大見出し)を書いて、少し下げて小さなテーマ(小見出し)を書き、さらに下げた位置から内容を書くと、整理されたレイアウトになりますよ」(太田さん)
余白を多くとる
そのために、後から思ったことなどを書き込めるだけの余白をちょっと多めに取っておきましょう。
余白があると、ノートが見やすくなる効果もありますよ」(太田さん)
色は3色でルールを決める
黒…板書や先生の解説など
赤…とても大事なところ、絶対に覚えなくてはいけない教科書の太字部分
青…まあまあ大事なところ
というように、色を変えるルールを決めることが大事です。
赤と青じゃなくても、自分が使いやすい色で構いません。
どうしても3色以上にしたいときは、しっかりとルールを決めて色を増やしましょう。
色を変えなくても、アンダーラインを引く、囲む、といった工夫で目立たせる方法もあります」(太田さん)
「きれい」を求めすぎない
限られた時間内にノートを取らなければいけないので、授業ノートはスピード重視です。
きれいじゃなくても、後から見直したときに自分のテンションが下がらないレベルで書けばいいと思います」(太田さん)
「復習ノート」の上手な作り方テク
問題演習や定期テストで何度も間違えてしまう問題や、なかなか覚えられない用語や単語などは、「復習ノート」を作って勉強しよう。
勉強が得意になるためには、
・わかる、理解する
・解ける
テスト勉強のときに覚えるまで見返し、問題を理解して解けるようになるまで解き直すとき、復習ノートは自分専用の問題集として使える。
本当にできないものだけを書く
復習したら理解できた問題は書かなくてもいいのです。
見直してもわからない問題、次も間違えてしまいそうな問題を集めて、解答だけでなく、解き方やポイントまで書くことが大切。
こんな解き方をするんだ、と新しい発見があったものは書いて残しておくといいですね。
教科別に、『演習用の復習ノート』と『暗記用の復習ノート』に分けて作ります。
定期テスト前の勉強だけでなく、定期テスト後の復習のときにも書き足していくと、大学入試の受験勉強用の問題集として役立ちます」(太田さん)
演習用の復習ノートは解き方を重点的に書く
まず問題集やテストなどで間違えた問題を貼るか書くかして、解き方と解き方のポイントを細かく書きます。
模範解答を丸写しするのではなく、同じ(似た)問題が出たときに自分でしっかりと再現できる解き方を書くことが大事。
数学なら途中の式まで書き、文章題ではなぜその解答が導き出されたのか詳しい解説を書いておきましょう」(太田さん)
暗記用の復習ノートは覚えやすいように書く
ノートを半分に折って、英単語、漢字、古文の単語、社会の用語など、覚えたいことを1問1答で書いていきます。
なかなか覚えられない単語、何度も間違えてしまう用語など、暗記したいことだけを書けばいいのです。
覚え方のポイントや語呂合わせなど、自分が覚えやすいよう工夫して書きましょう。
意味や用語の内容の部分を隠して、単語帳のように使うこともできますよ」(太田さん)
ノートの書き方に関するギモンQ&A
「ノートを取るときのペンの色は?」「ラインマーカーは使うべき?」など、ノートを書くときの道具について、みんなのギモンを太田さんに聞いてみた。Q.ノートを取るときのペンの色は?
・「色をたくさん使って色分けするほうがいいの?最低限に留めるべき?」(高1・神奈川)
・「単語が覚えやすくなる色、集中しやすい色ってあるの?」(高2・北海道)
・「色ペンの上手な使い方は?」(高2・福岡)
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「前述の通りですが、ノートを取るときに使うペンの色の基本は3色。
黒のシャープペン、一番重要な部分に使う赤ボールペン、一番ではないけれど大切な部分に使う青ボールペンの3色がいいと思います。
色は赤と青でなくてもいいので、自分で色分けのルールを決めておきましょう。
重要ポイントを目立たせるために色分けをするので、色の種類が多ければ多いほど、どこが大事かわからなくなってしまいます。
授業中にノートを取る場合、ペンを持ち替えることでタイムロスになり、書くスピードが遅くなってしまうというデメリットもあります。
授業ノートをそのまま暗記用にも使うなら、オレンジなど、赤シートで消えるような色を使ってもいいですね。
東大合格生のノートを見せてもらったとき、一番大事なことを蛍光イエローペンで書いている人がいました。
蛍光イエローで書いた細い字は全然見えないけれど、見えないからこそ一所懸命に見ようとして覚えられるのだそうです。
青ペンで書くと集中力がアップするという説もありますが、色で覚えられるというよりは、文字の色を変えることで気持ちを切り替え、やる気スイッチを入れる、と考えたほうがいいでしょう。
自分の好きな色で構いませんが、基本3色で、自分なりのルールを決めて色分けすることが大事です」(太田さん)
Q.ラインマーカーって使うべき?
「ラインマーカーを使うとノートに統一性がなくなってしまうので使ってないが、使ったほうがいい?」(高1・愛知)
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「ラインマーカーを使うときも、ルールを決めて、色の種類を少なくすること。
色を変えたり、ラインマーカーを使わなくても、鉛筆でアンダーラインをしたり、丸囲みをするだけでも、大切なポイントを目立たせることはできますよ。
どうしても覚えられないところ、絶対に忘れたくないところだけ、色ペンやラインマーカーを使う程度でも大丈夫だと思います」 (太田さん)
Q.シャープペンとボールペンはどっちがいい?
・「シャープペンでノートを取るよりも、ボールペンのほうがいい?」(高1・静岡)
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「シャープペンとボールペンは、どちらでもいいので、自分に合ったものを選びましょう。
ノートの紙質と自分の筆圧に合ったペンが必ずあると思いますから、いろいろ試してみて、自分が一番使いやすいペンを探してください。
ノートを取ることは、継続して続けていくものなので、いかにストレスを感じず、書きやすいかがポイント。
友達のお気に入りのボールペンを使ってみたけど、自分にはシャープペンのほうがいいと感じた、ということもあるでしょう。
筆圧が強くて、シャープペンの芯がすぐ折れてしまうのがストレスになるなら、鉛筆を使うとか、最初に『この1本』と決めたとしても、どんどん変わっていっていいと思います」(太田さん)
東大生もやっている「コーネルノート術」とは?
その他、多くの東大生も実践していることで注目を集めているのが、アメリカ、コーネル大学が提唱する「コーネルノート術」だ。「コーネルノート術」とは、約40年前、学生のためにコーネル大学のウォルター・ポーク教授によって考案されたノートの取り方。
講義や教材の内容をメモし、後で見直し覚えられるようにすることを目的として広く用いられており、成績アップにつながると評判だ。
▼詳しくは以下の記事をチェック
コーネル式ノートのとり方って?成績アップの秘訣はここにあった!
まとめ:自分の目的に合ったノートの書き方をみつけよう!
そのノートをどう使いたいかによって、書き方が変わってきます。
ノートは書いたら終わりではありません。
必ず見直しをして、知識の追加をして、ノートを育てていくことが大事。
書いたノートを見直したり、テスト勉強に使ってみたりして、ここはもっと書いておけばよかった、この情報が足りなかった、と気づいたら改善していけばいいのです。
自分の目的をかなえるため、勉強に役立たせるため、成績をアップさせるためにノートを書いているのだと意識しましょう。
勉強方法と一緒で、これが正解というノートの取り方はありません。
いろいろ試行錯誤しながら、自分が一番やりやすい書き方をみつけてください。
ノートは自分のために書くものです。
授業を写すためではなく、自分が理解するために書くものだから、黒板をそのまま写さなくても、必要だと思ったことだけ書けばいいと思います。
きれいにノートを書いたことで満足してしまう人もいますが、ノートは映える必要はありません。
きれいさよりも中身が勝負。
このノートを書くことで定期テストでは何点取ろうか、このノートでどうやって勉強しようか、目的と使い方をイメージしながら、自分に合ったノートの取り方をみつけてください」
取材・文/やまだ みちこ 監修/太田 あや 編集・構成/編集部 ※2024年3月一部更新
※記事内のコメントは2021年9月に全国高校生200人が回答したアンケートによるものです。
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