映画を見るだけで読書感想文が書ける!?オススメの映画原作本3冊

長かった夏休みも残りあとわずか。それなのに、「まだ読書感想文が書けていない!」と焦っている人もいるのでは?

 

そこで今回は、映像と文章の両方から内容を深く理解できる“映画化されている小説”の中から、高校生にオススメの読書感想文が書ける本を「ジュンク堂書店」池袋本店の書店員・田村友里絵さんに選んでもらった!

 
 

もう一度だけ会えるとしたら、誰に会う?
(1)【ツナグ】(辻村深月 著/新潮文庫)

 

「生きている人と死者とを再会させる“使者(ツナグ)”。この力を祖母から譲り受けた高校2年生の歩美の元には、様々な人が依頼に訪れます。ただし、1人の生者が死者と再会できるのは生涯に一度だけ。死者もまた、生者に会えるのは一度だけ。しかも死者は、呼ばれるのを待つことしかできません。この本を読むと、『自分が生者だったら、死者だったら、誰に会うだろう』と必ず考えます。その想いを、感想文として素直に綴ればいいのでスラスラ書けると思いますよ。また、この本は5つのストーリーに分かれた短編小説集なので、読書が苦手な人も読みやすい一冊です」

 

ツナグ

 
 

「戦う」「無視する」――“見えない戦争”が起こったら、何を選ぶ?
(2)【となり町戦争】(三崎亜記 著/集英社文庫)

 

「ある日突然始まったとなり町との戦争。町の広報紙に発表される戦死者の数は増えていくけれど、目に見える風景は何も変わらない…。この小説では、そんな“目に見えない戦争”にとまどう『僕』の姿が描かれています。一見奇妙な世界に見えますが、ふと今の自分の生活に置きかえてみると、同じ地球で起こっている戦争を『僕』と同じように現実味のないものとしてとらえていることに気づくんですよね。ファンタジーという思いがけない視点から戦争について考えるきっかけになるので、歴史の授業が苦手な高校生でも思わぬ疑問や自分の意見が生まれると思いますよ。また、『戦争』というテーマがはっきりした作品なので、感想文も書きやすいですね」

 

となり町戦争

 
 

「右」という言葉を、説明できる?
(3)【舟を編む】(三浦しをん 著/光文社)

 

「この本は2012年の本屋大賞受賞作で、ある出版社の辞書編集部が1冊の辞書を作るまでを描いた物語。高校生にとって身近なものである辞書が、どれほど手間と時間をかけて作られているのかを知れる一冊です。物語の中で、『“右”という言葉をどう説明しますか?』と問う場面があるのですが、その答えをさまざまな辞書を引いて見比べてみたり、自分なりの“右”の説明を感想文に書いてみるのもおもしろいかもしれませんね。この小説は、特定の仕事にスポットを当てた『職業小説』と呼ばれるジャンルの本なので、これから仕事を選ぶ高校生にとって、新たな世界を知るきっかけになると思います」

 

舟を編む

 
 

ちなみに、映画では『ツナグ』は松坂桃李、『となり町戦争』は江口洋介、『舟を編む』は松田龍平が主演を務めている。

 
 

映画を見てから小説を読めば、世界観がリアルに浮かんできて、いつもよりハイペースで読破できるかも!?