地球に優しい車作りのプロ? 進修館高校の機械研究部を取材した!
ホンダが主催するエコカーの大会「エコマイレッジチャレンジ」。これは“燃費の良さ”を追求した車を作り、「1リットルのガソリンで何km走ることができるか?」を競うというもの。
昨年、その高校生部門で優勝と準優勝を独占したのが、埼玉県にある進修館高校の「機械研究部」だ。優勝時の走行距離は、なんと1721km! そんなすごい車を作った部員のみんなに会いに行くことに!
■たった1リットルのガソリンでどこまでも走れる車作り
そもそも、機械研究部ってどんな活動をしているの? 顧問の田中一朗先生に聞いた。
「実はうちの部は、エコマイレッジチャレンジに参加するために作られたんです。車は技術の集合体なので、車作りの大会は生徒達の技術を試す格好の場になりますからね。毎日の活動は大会に向けた車作りが中心です」
早速、優勝したときの車を見せてもらうと、表面にあまり凹凸がなく、車というより小さい新幹線のよう!
1年生の村社くんに形状について聞くと、
「ガソリンをなるべく使わずに長い距離を走るためには、風の抵抗をなくすことが大切なんです。それを追求していったら、この形になりました。これまでの先輩方が作った車をさらに軽量化したり、摩擦抵抗を抑えたり、毎年バージョンアップしているんです」
とのこと。
この車には機械研究部の伝統が詰まってるんだ! でも、車を作るのってかなり大変そう…。
「そうですね。まずは、これまで集めたデータを元に、燃費のいい車を作るための話し合いを重ね、設計図を作りました。これだけで半年もかかりました。そこから車を作って、走らせてはデータを取る作業の繰り返し。そのデータを元に『あの部分が軽量化できるはず』『屋根をもう少し小さくした方がいい』などと話しながら改良を加えていきました」(1年生・柴田くん)
「データを取るための試運転は学校の駐車場で行うのですが、何回も走行させていると、タイヤが曲がってしまうこともあるんです。僕たちの車は空気抵抗を少なくするために、全てのパーツを溶接して固めているので、ちょっと曲がったタイヤを直すだけでも何時間もかかって…。正直、『もう嫌だ』と思うこともありました。でも、車が好きだし、自分達が考えて作っているからこそ、うまく走ったときはうれしいんです。『あのときの感覚をもう一度味わいたい!』と思うと頑張れました」(1年生・尾城くん)
■夢の記録へ! 彼らの挑戦はまだまだ続く
地道な苦労を重ね、やっとの思いで作り上げた車。大会本番でドライバーを担当し、この部唯一人の女子で部長の松田さんは、
「優勝するには車作りだけでなく、運転のテクニックも大切なんです。かなり緊張しましたが、当日は天気にも恵まれて、運転の指示を出してくれるオペレーターとの息もピッタリで。優勝することができて本当に良かったです」
と、笑顔で語ってくれた。
最後に、今後の目標を聞いてみると、
「次の大会ではベスト記録以上の2000kmを出して連勝するのが目標です。そのためには、もっと軽量化して、摩擦抵抗を減らして…と課題はまだまだありますが、頑張ります!」(1年生・星野くん)
と、力強い回答が!
まだ見ぬ記録を追い求め、日々車と向き合っている彼らの姿はかっこいいの一言!
これほどまでに高校生をアツくさせるエコマイレッジチャレンジ。今年も挑戦予定の彼らから目が離せない!
※この大会で運転する車に乗車する際に運転免許は必要ありません。