そのひとことがストーカーの餌食に!? SNS投稿の危険とは
高校生の日常に欠かせない「Twitter」や「Instagram」などのSNS。
でも、何気ない投稿内容からさまざまな個人情報が漏れる可能性があるって知ってた!?
「フルネームや住所を投稿する人はさすがに少ないと思いますが、直接書かなくても、写真や複数の投稿を組み合わせることで個人が特定できる場合は多いんですよ」
というのは、大手IT企業『グリー』の社員で、安心安全チームのマネージャーとしてインターネットの安全利用に関する講演を、年300回以上行っている小木曽健さん。
「流し読みしているだけなら気づかない個人情報でも、ストーカー目的の人にアカウントを発見されたり、SNS上で口論になって『お前の家まで行くからな!』と言われたりした場合など、自分の投稿を“悪意をもって”調べる人がいれば、簡単に居場所を特定されてしまう危険があります。
実際に、学校の前で待ち伏せされたり、部室に侵入された高校生の事例もあるんですよ。直接会いに来なくても、個人情報を拡散されたり悪用される場合もあります」
お、恐ろしい…! でも、一体どうしたら個人情報の流出を防げるの?
「まずは、携帯の位置情報がどのアプリと連動しているかをしっかり把握することが大切です。
もし、SNSアプリとGPSの連動が『オン』になっていたら、投稿に位置情報が自動で埋め込まれてしまうことがあります。
iPhoneの場合は、『設定→プライバシー→位置情報サービス』、Androidは、『設定→位置情報』から確認ができるのでチェックしておきましょう。
Androidの場合は、位置情報の呼び名が機種やメーカーによってバラバラなので注意が必要です」
ただ、位置情報が埋め込まれていなくても、背景に写っている物や投稿文などから個人が特定されてしまうこともあるとか!
そこで、よくありがちな投稿からどれだけ情報が漏れているかをクイズ形式で出題。
あなたは、以下の投稿から個人情報をいくつ見つけられる…?
自宅での自撮りは危険がいっぱい!
【Q1、写真の中で、個人が特定されてしまう危険な情報はどれ?】
1】まずは制服。全身が写っていなくても、襟の形やデザイン、リボンの色といった特徴から「セーラー服 一本線 赤リボン」などと検索するだけで学校を絞り込むことができます。また、全国の制服をまとめたサイトもあるので、特徴のない制服だったとしても、画像を照らし合わせていけばある程度まで学校を特定することは可能です。
2】本棚には、県名が書かれた参考書が見えます。この情報から、住んでいる県や地域が推測できてしまいます。また、国語や数学といった教科書も、地域によって使っているものが異なる場合もあるので、県名が書かれていなかったとしても教科書は写さないほうがいいですね。
3】バッグについているキーホルダーも危険です。住んでいる県と学校が絞られた状態で、さらに持ち物までわかってしまえば、学校付近ですれ違っただけでも個人が特定されてしまいます。顔写真は、実際に会っても同一人物かどうか瞬時に判断がつかない場合も多いかもしれませんが、持ち物はかなりの確率で個人を特定する情報源となってしまいます。
4】キーホルダーと一緒に鍵が写っていますよね。これを拡大するとある英数字が読み取れます。
合鍵には記載されていませんが、マスターキーには、この“鍵番号”が必ず書かれているんです(※画像の鍵番号は架空のものです)。
インターネットのサイトには、鍵番号と鍵のメーカーを打ち込むだけで合鍵を作ってくれる業者があるので、この写メから合鍵を作られてしまう危険も…。
ちなみに鍵番号がなくても、鍵の表と裏を正面から撮影した2枚の写真があれば合鍵は作れてしまうので、くれぐれも鍵の写真は載せないようにしましょう。
この1枚の写真から、住んでいる県、学校、個人が特定でき、合鍵まで作れてしまうなんて…。
もし、学校の前で待ち伏せをされて家までついてこられたら、複製した鍵で自宅に入られてしまうかも…!
顔が写っていなくても個人は特定可能!?
【Q2、写真の中で、個人が特定されてしまう危険な情報はどれ?】
1】ランニングは、基本自宅周辺で行うことが多いので、「#ランニング」という文字情報から、この2枚の写真は家の近所だと推測できます。また、投稿時間から「何時頃ランニングをしてるか」という行動パターンがわかります。
2】よく見ると、向かいのお店の「鳥良商店」という看板がガラスに写り込んでいます。お店の名前を検索すれば、この場所がかなり絞られますね。ガラスだけでなくカーブミラーや車のボディへの写り込みなどでも同様の危険性があるので要注意です。
3】マンホールは、区や市の名前が入っていたり、地域限定のデザインだったりすることが多いので、撮影場所を特定する手がかりになります。写真のものは、マンホールを集めた「マンホール収集サイト」で調べると、「渋谷区道玄坂」にしかないデザインだとわかります。
4】特徴的な持ち物は個人特定につながるので、目立つランニングシューズが写っていれば、顔がわからなくても個人が特定される危険が高まります。
たった2つの投稿から、日頃ランニングをしている場所と時間がわかり、個人まで特定されてしまうなんて恐ろしすぎる…。
毎日の投稿を組み合わせると細かい情報が流出…!?
【Q3、個人が特定されてしまう危険な情報をすべて答えなさい】
1】後ろにコンビニのロゴが見切れていて、アイスも特定のコンビニにしか置いていないものなので、ここがセブンーイレブンだということがわかります。
2】「塾つかれた~」という文章から、塾が終わった後、家に帰るまでの道にあるセブンイレブンに寄っていると推測できます。
3】「二日連続」という文章から、昨日と同じコンビニであると考えられます。また、セブンーイレブンの中でも、入り口の手前に車が数台止められる駐車場がある店舗だということがわかります。
4】「アイスのついでに」という書き込みから、昨日、一昨日と同じセブンーイレブンでチケットを発券したことがわかります。コンビニで発券したチケットには店名が印刷されているので、毎日通っているコンビニが特定されてしまいます。
5】投稿内容だけでなく、時間も大きな情報。どの写真も22時半ごろというほぼ同じ時刻に投稿されていることから、日々の行動パターンが推測できてしまいます。
これらの投稿を組み合わせると「毎日、何時にどこのコンビニに通っているか」がバレバレ! なんでもない投稿に見えても、こんなに情報が漏れているなんてショック…。
風景だけでも撮った場所が特定されちゃう…!?
【Q4、写真の中で、個人が特定されてしまう危険な情報はどれ?】
1】風景を撮るときに写り込みがちなのが交通看板。この写真からは「高田馬場、早稲田、飯田橋」という文字が読み取れるので、Googleマップで検索すれば東京都新宿区付近であることがわかります。また、この標識は「交差点案内標識」というもので、交差点手前約30m~150m以内に設置されるものなので、この少し先に交差点があることがわかります。
2】写真の下にはバスの車庫が写っています。Googleマップで「東京都 バス車庫」と検索すると13カ所に絞られ、新宿付近にあるのは1カ所だけです。ストリートビューで確認すれば、撮影場所はほぼ確定できます。
3】「うちのマンションから」という書き込みから、バスの車庫の向かいにマンションがあり、そこが自宅である可能性が高くなります。
誰が見ているかわからないネットの世界では、バスの車庫のような特殊なものが写っていなくても、誰かが「ここって◯◯だよね?」と書き込むことも大いに考えられるとか! 風景を投稿するのって想像以上にリスクが高いのかも…。
文字だけでも自分の居場所がわかっちゃう!?
【Q5、以下の投稿の中で、位置情報が特定されてしまう投稿をすべて答えなさい】
1】工事情報は、県や市の建設局のHPに記載されています。工事期間も明記されているので、「青梅街道で今月から工事が始まった場所」を調べれば、自宅の場所はかなり絞られます。
2】ゲリラ豪雨はピンポイントで起こることなので、気象庁のHPなどで調べれば、「この時間にどこでゲリラ豪雨が起こったか」がすぐにわかり、居場所が絞られてしまいます。ちなみに、停電も同じく居場所を特定する手がかりになります。
3】「今日の服装」をつぶやく人は多いと思いますが、生活圏が絞られた状態で服装がわかれば、個人が特定される可能性が高くなります。
「SNSなどのインターネットに情報を載せるということは、個人情報を書いた看板を持って、渋谷のスクランブル交差点に立つ以上に多くの人の目に触れる危険な行為なんです。
もちろん、個人が特定されたからといって、すぐに事件に巻き込まれることはないかもしれませんが、『これくらいなら平気』『自分は大丈夫』と思い込まず、『ちょっとした写真や投稿から自宅や学校がバレる危険があるんだ』ということをしっかり理解して、活用するようにしましょう」
手軽で便利でいいところもたくさんあるSNSだけど、楽しく活用するには、リスクも理解しておかないといけないのかも。
あなたの投稿は大丈夫…!?