「生徒会」が学校を変えている!? 実は知らない活動内容に迫る!【リクナビ進学ジャーナル】
どこの高校にも「生徒会」がある。「そういえば小学校のときは会長だった」という人もいるはず。
でも、「生徒会って、実際何やってるの?」「生徒会室で遊んでるんでしょ?」「会長はやっぱり権力あるんでしょ?」
そんな風に言われたり、「優等生」「マジメ」「先生の手先」というイメージも強い。
中には、「内申書が良くなるの?」「推薦入試を狙ってるんでしょ?」なんて言われることもあるとか…
そこで、今、高校の生徒会が何をやっているのか?
あまり知られていない生徒会の活動内容を探ってみた!
みんながイメージする「マジメな優等生」ばかりじゃない
実際の生徒会はどうなんだろう?
生徒会長の栗本拓幸くんと馬渕祥丸くんに話を聞いてみた。
※馬渕祥丸くん
「生徒会の第一印象といえば『マジメ』ですが、意外にはっちゃけている人も多いし、いろいろな人がいますよ。
中には、軽音楽部にも所属している、『おとなしい』イメージとはかけ離れた人とか(笑)」(馬渕くん)
※栗本拓幸くん
「生徒会長だからといって、学園ドラマみたいな大きな権力はありません(笑)。
先生に気に入られるというよりは、生徒みんなの意見を代弁する立場だから、逆に先生には『なんだコイツ』って思われることもありますね。
正直、内申書はあまり変わらないんじゃないかと思います」(栗本くん)
どうやら、みんなが思っているようなイメージとは、だいぶ違うみたい。
では、具体的にどんな活動をしているのか、見てみよう。
ロッカーやトイレを生徒会の提案で新しく改修した!
生徒会の役員(メンバー)は、会長・副会長・書記・会計など、合計7~8人。
学校によって活動内容は異なるけど、どこの学校でも必ず開かれているのが、定例会議。
「ぼくの学校の場合、決まった会議は週に1回。
生徒会室に集まって、『これから何をやろう』という作戦会議のようなことをしています」(栗本くん)
定例会議では、生徒会役員に立候補したときの公約(選挙での約束)やスローガンを実現するために、どうやって進めていくか、生徒からの要望に応えるための対策などを話し合っているという。
具体的にどんな公約を実現させたのだろう?
「ぼくの学校では、生徒全員の個人ロッカーを買い換えてもらいました。
古くてボコボコになっていたし、小さくて傘が置けない不便さもあり、ずっと新しくしてほしいという要望があったんです。
トイレも、全部は無理でしたが、古い和式から一部を洋式の新しいトイレに改修してもらうことができました」(馬渕くん)
学校施設の改善は、お金がかかることなので、要望を出したからといって、すぐに通るものではない。
何代か前の先輩から引き継がれていた案件を馬渕くんの代でようやく実現させたのだそう。
学校の設備を新しくしてしまうなんて、生徒会の活動って、実はスゴイのでは?
どうやって実現までこぎつけたのだろう?
「生徒から要望を聞いたら、それに対して改善案をまとめた企画書を作り、まず生徒会の顧問の先生に相談。
OKが出たら、教頭先生に提案して、職員会議にかけてもらうんです。
案件によっては、直接、事務所に直談判に行くこともあります」(馬渕くん)
ロッカーやトイレなどは全校生徒にかかわることだし、卒業した後にも残る。
「みんなに『ありがとう』『やったー!』って喜んでもらえると、すごくやりがいを感じますね」(馬渕くん)
学校生活を良くするための「変える力」を持っている
その他に、生徒会の活動として、多くの学校でやっているのが募金活動。
たとえば、熊本地震・鳥取中部地震のときに復興支援募金を行った。
ほかには、いま話題の起業家や投資家を学校へ招き、ビジネスコンテストや講演会を開催したり、おもしろい事例としては、男女別学の高校で、女子棟にある職員室への男子生徒の立ち入り禁止を解禁。
女子棟の職員室にいる先生に気軽に質問をしに行けるようになったとよろこばれたとか。
「何もしようとしなければ、体育祭などの学校行事の受け付けや、入学式の式辞(あいさつ)を読むなど先生から頼まれる雑用だけで任期が終わってしまうけど、自分たちの生活を良くしたいと思ったら、学校を変える力が生徒会にはあります。
ひとりの生徒が『この学校おかしいよ』と言っても、『お前、何、生意気を言ってんだ』と先生に怒られてしまうけど、生徒会として意見を言えば、少しは学校側も聞く耳をもってもらえる。
学校生活を良くするために、不便に感じていることを改善するために、生徒会の活動があるんだと思います」(栗本くん)
全国100校の高校から生徒会メンバーが集まって大会を開催!
普段は学校内だけで活動しているけど、年1回、全国の生徒会のメンバーたちが議論をして、悩みを解決したり、お互いにレベルアップをする。
そんなイベントが東京で開催されているという。
それが「全国高校生徒会大会」
第1回大会は2013年に全国77校から178人の生徒会メンバーが集まった。
第5回となる2017年は3月27日~29日の2泊3日で、全国100校の参加が目標。
合宿形式で開催され、栗本くんは今年度の実行委員長。
「今年の目標は『自分の学校へ持ち帰ってもらえるものをつくろう』です。
ディスカッションをメインに、生徒会にはもっとできることがあるって気づいてほしい。
ありきたりのワクにはまってしまっている人に『こんなおもしろいことをやっている人がいるんだな』『こんなことを実現しちゃうスゴイ生徒会があるんだな』ということを知って、いろんな学校でアクションを起こすキッカケになってほしいと考えています」
普段なかなか相談できる相手がいない生徒会メンバーが悩みを聞いてもらったり、ネットワークができるのも心強い。
公約や企画のアイデアの交換をしたり、問題の解決策が見つかったり、複数の学校が一緒に被災地の支援に取り組んだ事例もあるという。
わくわくする学校生活へ生徒会が変えてくれる
生徒会では、学校の施設のリニューアルやルールの改定など、生徒の要望を企画書にして、学校側にプレゼンテーションをする。
高校生のうちから社会勉強ができるんだ。
「高校生だから失敗しても許されるし、実現すれば後々まで残る軌跡になります。
生徒会は、楽しくて、いろいろなことができる場所。
部活と同じようにワクワクできて、やりがいのある仕事だと思いますよ!」(栗本くん)
どうだった?
今までの生徒会のイメージが変わった?
まわりに生徒会に入っている友達がいたら、ぜひ「今、何やってるの?」って聞いてみてほしい。
学校を良くするために頑張っている生徒会メンバーは、まずその活動を知って、理解してもらえることが何よりのよろこびだから。