将来が明確な高校生ほど「自分の将来が明るい」

高校生は自分の将来をどう見通しているだろうか。リクルート「高校生価値意識調査2012」によると、「自分の将来が明るいと思う」という高校生は55.4%で、「明るくないと思う」は44.6%(グラフ①)。ほぼ半々の結果だが、明るい見通しのほうが多数派となっている。

 

①「あなた自身の将来」は明るいと思うか

 

では、「自分の将来が明るい」という高校生と、「明るくない」という高校生には、何が違うのだろうか。他の調査項目とクロス集計してみると、「将来の職業イメージ」と大きな相関がみられた(グラフ②)。

 

②将来の職業イメージ別にみた「自分自身の将来は明るい」と回答した割合

 

将来の職業イメージ状況別に「自分自身の将来は明るい」と回答した割合をみると、「就きたい職業・目指したい職業が決まっている」人で「明るい」と回答した割合は70%。しかし、「まだ先のことなので、まったく考えていない」人では35.6%にとどまる。つまり、将来の職業について考えを深めているほど、自分の将来に明るい見通しをもっているといえそうだ。

 

自分の将来の見通しと将来イメージとの相関は、フリーコメントからもうかがえる。

 

■「自分の将来は明るくない」と感じる理由
将来像があいまい
・まだ何をやりたいか、という具体的な目標がないので、あまり明るくないです(高3女子)
・どういう道に進むかまだ決めていないので明るい未来を想像できない(高2女子)

 

社会への不信がある

・就職難の時代だし、大学を出たところで仕事に就けるかわからないから(高2女子)
・これからの日本は市場規模も縮小し、政府も何の対策もしない(高1男子)

 

自分に自信がない
・努力が苦手(高1男子)
・今の成績では、自分の将来の夢はかないそうにない(高1女子)
・ちゃんとした仕事に就けるか不安(高2女子)

 

■「自分の将来は明るい」と感じる理由
夢や目標がある
・私は自分の将来の目標をかなえて楽しんでいると思うから(高2女子)
・夢に向かって頑張っているから(高3男子)
・看護師になる勉強をしているから(高3女子)

 

自分たちで変えられる
・これからもっと明るくなっていかなきゃならんし、自分たちでそうした未来を作っていきたい(高3男子)
・震災を経験してこれ以上社会が後ろ向きになってはいけないと感じているし、そうさせないようにするのが私たちの責任だと思うから(高3女子)

 

「将来は明るくない」と感じる理由にはあいまいな将来像をあげる声が目立つが、「将来は明るい」と感じる理由には夢や目標に向かって頑張る様子が語られているのだ。必ずしも目指す職業が早く決まるのが良いというわけではないし、この先のさまざまな出会いや経験によって目標は変わるかもしれない。ただ、長期的な視野をもって仕事やライフスタイルをイメージすることが、将来へのモチベーションを高める効果はありそうだ。

 

①②グラフ・コメント/出典:リクルート「高校生価値意識調査2012」 ※有効回答数1239