高校生の今

テーマ決めから生徒が主役。愛知県立旭丘高校の「学校祭討論会」

テーマ決めから生徒が主役。愛知県立旭丘高校の「学校祭討論会」

みんなは学校で討論会を行ったことがあるうだろうか。

 

「あまり意見が出なくてしーんとしていた」

「先生にやらされてる感じでおもしろくない」

 

…なんて盛り上がらない状況も珍しくないかもしれない。

 

しかし、愛知県立旭丘(あさひがおか)高校の討論会はちょっと一味違うイベントだ。

 

■学校祭の恒例企画! 生徒全員で行う討論会

旭丘高校には、鯱光祭(ここうさい)という学校祭がある。学校祭は前夜祭、体育祭、舞台発表、分科会、討論会、文化祭、後夜祭の7つの企画があり、6日間にわたって開催される同校最大のイベント。今年も9月24日~29日に開催された。

 

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その鯱光祭の主要企画の1つが「討論会」だ。

 

全校生徒が2つの会場に分かれ、それぞれ1テーマについて2時間半の討論会を開催。今年度のテーマは「戦後責任と私たち」と「高校入試制度」。それぞれ700人、300人の生徒が参加した。

 

戦後責任などの難しいテーマにもかかわらず、なぜ同校では活発な討論が可能なのだろうか。

 

■読書会やフィールドワークで考えを深めてから臨む

その理由の1つは、伝統的に討論をする風土があること。ホームルームや授業などで日常的に討論を行っているという。討論会実行委員長の河野悠太くん(2年)も、入学後すぐに旭丘の洗礼を受けた。

 

「最初の林間学舎でもクラスごとに討論会をしました。出会って間もない仲間なのに、みんなどんどん手を上げて意見を言っていて、すごいなと思いました」(河野くん、以下同)

 

また、もう1つの理由は、生徒を中心に行ってきた入念な準備だ。例えば、テーマを深めるために、委員会以外の希望者も参加できる各種イベントを企画してきた。

 

テーマに関連する本を読んで意見交換する読書会を開催。さらに、専門家を招いて講演を聞くとともに質問もできるイベントも実施。

 

(下記写真は『日本人の戦争観』の著者吉田裕氏を招いたイベントの質問コーナー)

 

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7月には、中国人留学生3人を招いて話を聞き、両国の歴史認識のずれを確認した。

 

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夏休みには、岐阜県の地下軍需工場跡や杉原千畝記念館を訪ねた。

 

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「これまでは何気なくニュースを見るだけで、物事の一面しか見てこなかった気がします。でも、じっくり本を読みこんだり、別の立場の人の話を聞いたり、実際に戦争経験者の話を聞いたりするなかで、実はいろいろな見方や考え方があるということに気づきました」

 

■司会、パネリストはすべて生徒。会場からも活発な意見

そして、討論会当日――本番では会場の生徒からいろいろな意見が出て盛況だった。

 

河野くんが特に印象的だったのは討論会終盤だ。「国により歴史認識に違いがあることでトラブルが絶えない状況をぼくたちが変えていくために、どんなことから始めたらよいか」という質問を会場に投げかけると、会場の数十人から一斉に手が上がった。

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「その中で、『どんな国の人も“一人の個人”として見ることが必要ではないか』という意見がありました。これは委員の中でもずっと考えてきたことで、委員ではない一般の生徒からも同じように出たのは、これまでの活動の成果かなとすごくうれしかったですね」

 

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翌日の文化祭で、アジアの文化への理解を深めるために討論会実行委員会メンバーで台湾料理魯肉飯(ルーローハン)の屋台を出した。年度末には一連の活動をまとめたレポートも作成する予定だ。

 

討論会という一大イベントは終わった。しかし、この一連の活動を通じて彼らが得た知識、考えを行動に移していくのはこれからだ。

藤崎雅子 編集者・ライター

藤崎雅子

高校の先生方向けキャリア教育の専門誌にて、全国の高校の取り組みを取材しレポートする連載を担当するなど、教育関係の雑誌やサイトを中心に活動。ほか、二児の母としての目線を生かした様々なテーマの取材・執筆活動を行っている。

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