ミラノコレクションで作品を発表している尊敬するデザイナーの下で働きはじめ、最初の仕事でいきなり有名アーティストの衣装をつくらせていただけることになりましたが、製作期間がビックリするほど短かったことと、何から何まで初めてのことだらけで、製作中は戸惑うことばかりでした。でも、自分のつくった衣装がステージに上がり多くの人々の注目を浴びているのを見たとき、とても嬉しく、やりがいを感じました。現在の主な仕事は、デザイナーのアシスタントとして、ショーピース(コレクションで発表される服)のパターンや仕様書の作成、縫製などです。自分で手がけた服を、日本だけではなく世界に向けて発表できることが、最高の喜びです。
幼い頃から、ぬいぐるみをつくったり刺繍をしたりはしていましたが、特に手芸が好きだと思っていたわけでもなく、胸を張って「これが得意です」とか「これが好きです」と言えるようなものはありませんでした。一変したのは、中学3年生の夏休み。先生の勧めで浴衣をつくったときのことです。いままでの手芸作品よりもずっと大きなものを完成させることができ、その達成感から「自分のやりたいことはこれだ!」とひらめいたのです。そのときから、服をつくる仕事に就くことが私の夢になりました。
学生時代は、自分がデザインした服を多くの人に見てもらい、認めてもらいたいという気持ちがあり学外のコンテストに積極的に応募していました。1年生のときに「日暮里ファッションデザインコンテスト」で賞をいただき、それからはもっとクリエーティブな服をめざすようになりました。そのなかで、私が再現の難しそうなデザインをつくりたいと言ったとき、先生方が「どうしたらつくれるか、どうしたらいい作品になるか」と、親身になって一緒に考えてくれたり的確なアドバイスをくださったことが心に残っています。学生時代に基本的な技術から応用的なテクニックまでしっかり身につけることができ、それがいまの仕事にも活かされています。
アツシナカシマ勤務/テクニカルクリエーション科 卒/2022年卒/中学3年生のときにファッション業界へ進むことを決め、2019年4月、名古屋ファッション専門学校のファッションマスター科(現:テクニカルクリエーション科 2021年4月名称変更)に入学。在学中の2019年「日暮里ファッションデザインコンテスト」で受賞したのを皮切りに、2021年も「日暮里ファッションデザインコンテスト」で入賞、さらに学内の卒業制作ファッションショー「NFFF2022」では、YKK部門グランプリ受賞とコレクション部門奨励賞をダブル受賞するなど、受賞歴多数。卒業後は、ミラノ・コレクションにも出品しているATSUSHI NAKASHIMAのアトリエに入社。