19世紀のイギリスで活躍したトマス・ハーディという作家を専門に研究しています。ハーディは「古き良きイギリス」を体現したような南部の農村を舞台に、地域の中での人々の結びつきを描いた作品を多く書いた作家。しかし徐々に作風が変化し、後期の作品では、他の地域から人がやってきたり、反対に地域から人が去ることによって、地域の共同体が崩壊する様子を描いた作品を残しています。これらの作品を「よそ者」や「マイノリティ」の立場で解釈し直すことが私のテーマ。「よそ者」の描かれ方に注目すると、現代の日本でも起きている移民問題と重なる部分があるのではと感じています。21世紀を迎えた今19世紀のイギリス文学を読む意味は何なのか?と考えたとき、見過ごされがちな「弱者」の声を見つめ直すことに大きな意義があると考えています。
土屋先生のゼミでは19世紀のイギリス文学を取り上げ、学生がさまざまな切り口で分析しています。例えば19世紀初頭に流行したゴシック小説として知られる『フランケンシュタイン』を題材に、登場人物のキャラクター分析を行う学生もいれば、当時の旅行文化にフォーカスしたり、女性の描かれ方に注目して家族観やジェンダーの問題にアプローチしていく学生も。学生が自由にテーマを決めて研究することを重視している土屋先生。「研究を通して新たな気づきを得て、その研究成果を裏付けをもって発信する力を身につけてほしいと考えています」
英文学科は皆さんが思う以上に色々なことが学べる場所です。語学や文学はもちろん、日本とは違う風習や文化を知り驚くこともあるでしょう。遠くの世界のことを学び、近くのことを考える。そんな学びが待っています!
専門:19世紀イギリス文学
津田塾大学学芸学部英文学科卒業。津田塾大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。津田塾大学大学院文学研究科英文学専攻後期博士課程満期退学。2007年実践女子大学に着任。最近の研究テーマ:トマス・ハーディを中心とする19世紀イギリス小説に描かれる共同体と個人の関係