心の健康に影響をもたらすものの一つに挙げられる「ストレス」。不安などの負荷がかかることで憂鬱な気持ちになったり、意欲が低下した経験が誰しもあると思います。私は「働く人のメンタルヘルス」に関心を寄せており、特に看護師のストレスとその対処法の検討、職場適応支援を得意としています。ストレスの要因は、長時間労働や仕事のやりがいなど様々ですが、最も大きな要因は「人間関係」であると言われています。特に、対人援助に携わる人々は燃え尽きやすい傾向もあります。こうした方々に対して主にアンケート調査を行い、ストレス緩和に役立つ行動の検討について研究中です。過労自殺やパワーハラスメントなどでつらい想いをしている人はたくさんいます。そうした方が少しでも減り、いきいきと活躍できる社会の実現につなげたいと考えています。
谷原教授が担当する授業「健康・医療心理学A」「産業・組織心理学」では、医療領域や産業領域の現場で働く公認心理師・臨床心理士が行う心理検査・療法について紹介。職業理解を促すとともに、実践にも取り組みます。具体的には、うつ病を発症した人に対しカウンセリングを通して考え方の癖を改善する(医療領域)ほか、パワーハラスメントによる適応障害に対応する復職支援(産業領域)、不登校の生徒への再登校支援(学校領域)など、クライエントの置かれた環境・状況を理解し、一人ひとりに対する支援の実践を学ぶことができます。
入学後は人間理解の基礎をはじめ心のしくみや働き、心理学的支援など段階的に学びます。心理職の活躍の場は保健・医療、福祉、教育、司法・犯罪、産業の5領域。在学中の実習で各領域での現場体験も可能な環境です。
専門分野/職場のメンタルヘルス、ストレス
略歴/1985年、(財)林精神医学研究所附属林道倫精神科神経科病院へ入職し、臨床に携わる。2015年には(公財)林精神医学研究所岡山EAPカウンセリングルームに事業部長として就任、医療機関や一般企業における従業員のストレスチェックをはじめとする支援に携わった。2016年に川崎医療福祉大学 医療福祉学部臨床心理学科へ教授として入職、現在に至る。博士(医療福祉学)。