大正から昭和の都市の発展とそこに住む人々を研究しています。市街地の形成をはじめ、まちづくりには市井の人々の存在が関わっています。「その姿を残しておきたい」と考えたことが私の原点。研究では当時の新聞などを読み込み、文書館などで古文書や文献を調査します。その中には個人の日記もあり、当時を生きた人々がどのようなことを感じ、考え、行動していたかを知ることができます。地域に暮らす古老の話しを聞くことも欠かせません。私は千葉県出身で、着任を機に山口県へ移住しました。周南市のように地方で県営、市営、日本住宅公団の住宅が一緒に建設された歴史は全国的にも珍しく、その成り立ちに強い関心を抱いています。千葉県には離島がないため、大津島の歴史、文化も興味深い。目にする何もかもが新鮮で研究への意欲につながっています。
小林准教授が担当する日本史の授業では毎回テーマが提示されます。学生はテーマについて考察し、文書を作成・提出。准教授はすべてに目を通し評価を行います。その理由は「過去は今につながり、未来に活かせるものであることを知ってほしいから」と准教授。事象に対し考察を深め、自らの考えを伝えるという過程を通して、過去の歴史からの気づきを得てほしいといいます。このほか、地域課題の解決に取り組む「地域ゼミ」(2年次より開始)での指導においても、学生へ「身近な歴史を現地へ実際に行って掘り起こしてほしい」と伝えています。
「親孝行したいときに親はなし」という言葉は、勉強にも似ています。働き始めて勉強の必要性に気づいた時には、仕事に追われ勉強に取り組みにくいもの。興味を持てることを早く見出し、一生懸命学んでほしいですね。
専門分野/経済史、都市計画史
略歴/横浜国立大学現代経済学部在学中、英国に語学留学。日本とは違うまちづくりにふれたことをきっかけに、その土地ならではの歴史に対する関心を深める。一橋大学大学院修了。千葉県史料研究財団に勤めながら千葉県史の編さんに携わる。現在に至るまで赴任した先々で歴史研究を続け、高崎経済大学の特命助教から徳山大学(現・周南公立大学)に着任。千葉市史編纂委員、千葉県議会史執筆委員。