私が担当する教科専門図画工作・造形表現演習では、学生が将来、幼稚園・保育園・小学校などの先生としてアートや造形活動を教える際の指導法を養います。私が大切にしているのは、まず学生自身にアートを楽んでもらうこと。図工や美術に苦手意識を持つ学生も多いのですが、本来、表現活動とはとても楽しい作業なんです。課題があるとどうしても「上手に作らなければ」という意識が生まれがちですが、そもそも図工や美術という教科には「正解」がなく、そこが魅力でもあります。
たとえば授業で何かを作る時、完成させなくたっていい。大事なのは、一人ひとりがどのような課題を設定し、向き合い、どんな時間を過ごしたかということ。自分と向き合うアートな時間を過ごすことで、自分を開拓し、可能性を見つけ、それが自信にも繋がっていくのです。
さまざまなモノづくりを経験できる名取先生の授業。時には体育館でインスタレーション・アートを制作したり、近隣の幼稚園の子どもたちと制作をしたり、地元栃木の名産イチゴなどを使った染色に挑戦することも。藍染は、土を耕して種を植え、自分たちで育てた藍の生葉を使用して行うなど、本物に触れることも重視しています。「学生時代に色々なことを体験しておくと、将来に役立つ引き出しがたくさんできます。可能性の塊である子どもたちを指導する仕事に就くからこそ、学生には引き出しをたくさん持って社会に羽ばたいて欲しいです」。
アートに上手・下手、得意・苦手なんて関係ありません。アートの可能性はどんどん広がります。本学では今後「アートセラピー」などもスタートします。ワクワクがいっぱいの、アートな時間を一緒に過ごしませんか?
日本色彩教育研究会理事、栃木市立美術館運営委員、世界児童画展審査員(2015年・2016年)、栃木県立美術館・美術館普及教育事業『創作工房アートラウンジさくら塾』ワークショップ担当。授業ではアートや制作活動を楽しみながら、子どもたちへの指導法を教える。「学生の多くは20歳前後の多感な時期。経験を積み、壁にぶつかりながら、人生を生きるための礎や強さを身につけることをサポートしていきたいです」と語る。