「優しささえあれば介護はできるのでは?」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかし、専門職としての介護は「状況に応じた優しい対応」だけでは十分ではないのです。利用者様の詳細情報をアセスメント(評価・分析)し、明確な目標を持って介護を行わなければなりません。
また、社会の介護観もどんどん変化しています。助けるだけの介護から利用者様の自立と自律へ向けた、より良くするための介護へと進化しているのです。
そんな変化や進化に対応するために今後いっそう必要とされるのは、科学的な根拠に基づく介護の実践です。つまり、介護福祉を「介護福祉学」として体系化するための科学的な研究が求められているのです。「介護過程」をわかりやすく教えながら、一方では科学としても研究する、というのが私の取組みです。
大久保先生は、教科書を読み解くだけの授業ではなく、演習を中心とした授業を展開することで、学生がより主体的に関与し、実践的に学ぶことを促している。例えば、「介護過程」の授業では、最初に「卵焼きの作り方」を学生みんなに考えさせる。学生たちは、ある事例に基づく条件下で同じ卵焼きを作るためにはどうすれば良いかを熟考することによって、自分が作るための「レシピ」と「個別介護計画」の違いを学ぶ。「難しいことを難しく、ではなく、難しいことをやさしく、教えることを心がけています」とのこと。
「福祉」には「しあわせ」という意味もあります。つまり介護福祉とは「人を幸せにする」仕事なのです。これほど人に「ありがとう」と感謝される仕事も珍しいと思います。素敵な仕事を目指してともに学びましょう!
専門:介護過程、コミュニケーション技術
茨城県出身。職業訓練生としてアール医療福祉専門学校に入学し、現学科長である早川先生の薫陶を受ける。卒業後は特別養護老人ホームに就職。勤務しながら介護支援専門員や認知症ケア専門士の資格を取得。2020年4月より現職。今後は「多角的な支援ができるように」社会福祉士と精神保健福祉士の資格取得へ向けて「準備をしているところ」とのこと。