大学時代は情報系の学部に所属し、脳のシステムを見本にしたコンピュータプログラムを使って研究をしていました。そうするうちにコンピュータよりも人に対する興味の方が大きくなり、人の発達に興味を持ち、心理学・行動科学の分野へ。大学院から研究を専門としていたADHDの特徴の一つは、衝動性です。人は「今これがやりたい」という欲求と「でもこれをやると、先々困ったことになる」という将来的見通しを天秤に掛けて行動を決定するものですが、ADHDの人は先の見通しを持った行動を取るのが苦手です。それで生活に支障をきたすことが多いのですが、周りのちょっとした配慮で楽に生活ができるようにもなります。どんな配慮をすることがADHD当事者にとって適切なのか、常に考え続ける。そこが「障害児教育」の面白さだと感じています。
保育士課程の「障害児保育」と教職課程と「特別な配慮を必要とする子どもの理解と支援」は、グループワークでのディスカッションが中心。保育園での子どものトラブルなどの事例について、保育者の対応は適切だったか、自分だったらどうするかなどを話し合います。他の学生の意見を聞くことで視野が広がり理解が深まります。私が授業を通して目指しているのは「障害のあるなしに関わらず色々な子どもがいると想定して工夫ができるようになること」「子どもの行動の理由を考えられるようになること」の2つを学生に理解してもらうことです。
保育士や教師は、子どもの心理や発達を学んだ人にしか務まらない仕事です。これらの仕事を目指すのなら、専門家としての誇りを持ってほしいと思います。素晴らしい仕事ですよ!
専門分野:障害児心理学
研究テーマ:発達障害児の認知発達に関する基礎的研究および行動観察法を用いた研究
略歴:筑波大学大学院 人間総合科学研究科 博士課程修了 博士(行動科学)。
筑波大学人間総合科学研究科非常勤研究員、筑波大学人間系支援室準研究員、川口短期大学こども学科准教授、筑波大学心理・障害相談室非常勤相談員などを経て、現職。