和菓子の基本は「花鳥風月(かちょうふうげつ)」。日本の美しい四季を表現する伝統的な「お菓子のカレンダー」です。春なら桜、秋なら菊…と季節ごとの花をあしらったり、新年ならウグイス、夏なら水鳥など、手のひらサイズのわずか40g前後の小さな世界に、まるで俳句の季語のような季節感が込められています。和菓子店の常連さんは、たとえば6月ごろに漁が解禁になる鮎をモチーフにした「鮎焼き」が店頭に並びはじめると、「もう夏が来たんだね」と初夏の訪れを知るのです。そんな和菓子ですが実はチョコレートやクリームとの相性も抜群で、スイーツとしての可能性は無限大。洋菓子店の経験を活かして、若い世代にもっと和菓子の魅力を知ってもらえるように、洋菓子の素材を取り入れた「和洋折衷」のカワイイ和菓子づくりも積極的に行っています。
和菓子は同じ分量のもので同じ時間をかけて作っても、季節によっては生地がしまったり、ゆるんだりと、その時の温度や湿度によって仕上がりが変わってしまいます。そこで和菓子職人に求められるのが「あんばいを取る」という技術。田崎先生の実習では1年中、いつも同じ品質に仕上げられるプロの和菓子職人としての技術を身に付けます。また「和菓子はあんこが命」という信条から「あんこ」の練り方は徹底的にマスターします。練り方が上手になれば自然とおいしい「あんこ」ができ、それがおいしい和菓子づくりの確かな基礎になります。
ユネスコの無形文化遺産に認定された和食の中でも「和菓子」の分野は日本でしか学べない、いわば特別なカリキュラムです。和菓子を通じて自分が生まれ育った日本の食文化にもっと興味を持ってくれると嬉しいです。
もともと洋菓子職人に憧れて製菓学校に進学した田崎先生。在学中に和菓子の魅力を知り和菓子職人の道を目指す。和菓子店に就職後、和洋折衷の新しい和菓子づくりを目指して洋菓子店でも修業。さらに和菓子店で現場経験を積み重ねた後、国際フード製菓専門学校の和菓子教授となる。和菓子職人として約10年。和菓子の魅力を伝える田崎先生の授業を受けて和菓子コースを選択する学生も多い。