私が担当しているのは高齢者の方々に対する作業療法です。その中でも認知症という分野について臨床時代から研究を続けてきました。認知症はよくイメージされるように記憶力低下だけではなく、それに付随して、昼夜問わず歩き回ったりするという行動症状が起こってきます。なぜそのような行動をとってしまうのかというと、その背景には自分が何者で、今何をしているのかわからなくなってしまうという不安や悲しさなどがあります。作業療法士はこれらの心の変化に対して、その人が得意・趣味だった作業などを用いて、精神面の安定と共にこれ以上認知症が進行しないように関わっていきます。自分たちがもし認知症になっても、作業を用いた関わりで自分らしく過ごせる。そんな優しい社会になってもらえたらと思い、取り組んでいます。
「作業療法評価学」では、関節の測り方、筋力の測定方法などリハビリテーション職に必須となる技術の習得練習を始め、その人にとっての作業を特定するための面接方法などを実際に学生同士でペアとなって行います。「日常生活動作学」では、高齢者体験キットを使用して生活動作のしづらさを体験しながら、その人らしい生活が送れるように、車いすを使用する時の廊下の幅や、手すりの設置など生活環境を整えることも考えていきます。授業を通して、対象者が何を望んでいるか、希望に合わせたリハビリを提案できる力を磨きます。
「地域共生社会」実現に向けた地域づくりへの取り組みのために、作業療法士という人材は求められています。本校で作業療法士という国家資格を取得し、私たちと一緒に輝かしい未来を作りましょう!
専門科目:老年期障害作業治療学、日常生活動作学、作業療法評価学、体表解剖学
中学時代にハンドボールの怪我で思うようにスポーツができなかった時に、リハビリテーションをサポートする仕事を知る。好きな音楽などをリハビリに活かせると考え専門学校に進学し、作業療法を学ぶ。卒業後、病院に入職し、認知症の人々へのリハビリに従事する。その後、訪問看護からのリハビリテーション事業職に転職した後、教員として同校に入職。