がん患者が自身の現実と向き合い、自分らしい生活を「再構築」するために必要なケアについて研究しています。人は本来、ストレスに対処し回復しようとする力が備わっていますが、無条件にその力を発揮できるわけではありません。看護の目的のひとつは、そのような自己回復力を最大化することです。「がん」という、命にかかわる病になった時、危機的な状況に置かれた患者の多くは、心身の“安全と安心”を求めています。看護師が身体的・精神的ケアを通して安心を届け、まずは患者が自身の現実と向き合える環境づくりを行う。そして、治療や療養に必要なもの・ことをともに考えながら、がん患者が不安や恐怖に対処しながらも、前向きに「自分らしい生活」をつくるためのサポートができるのではと考えています。
どんな知識も、身につける目的が分かっていないと定着しません。成人看護学の授業では成人の健康への関心や不安、問題を、自分ごととして考えてみる授業を行います。たとえば、身近な人の日常行動や、健康に対する意識を調査し、グループでまとめて発表してもらいます。そうすると、日頃は見えなかった、身近な人が抱える健康上の不安や問題意識が分かるようになります。自分で収集した情報を分析することで、看護の学びをただの情報ではなく、生きた知識として身につけてもらうことをめざします。
看護は誕生する命、病気やケガからの回復、回復が見込めずとも自分らしく生きようとする姿等、人の「生命」と「生き様」にかかわる仕事です。厳しくはありますが看護の仕事は人生の一部にする価値と醍醐味があります
徳島大学卒業後、北里大学病院で看護師として勤務。千葉大学看護学部の助手を務めた後、北里大学大学院看護学研究科に進学、東海大学健康科学部看護学科の助教授・教授に。その後は、徳島大学医学部保健学科の教授に着任し、修士課程にてがん看護専門看護師の育成に携った。退職後、甲南女子大学看護リハビリテーション学部の特任教授に就く。2024年4月大阪歯科大学看護学部学部長に就任予定(2023年3月現在)。