私は「基礎看護学」を担当しています。基礎看護学は、看護を実践するために必要な基本的な能力を養う科目です。看護師の仕事といえば、採血や注射など診療の補助業務をイメージする人が多いかもしれません。しかし、もう一つ大切な業務が患者さんの療養上のケアです。「呼吸する」「食べる」「体を清潔にする」といった日常行動に支障をきたしている患者さんが、ベッドの上でもできるだけいつもの暮らしに近づいて療養できるようにお世話をする仕事です。そこでは感染予防など看護の視点を持って実践する技術が重要になります。看護技術によって患者さんは食欲を取り戻し、よく眠れて、回復意欲がわき、療養生活を送れるのです。「基礎看護学」を学びながら、自分の関わり方が本当に看護になっているか、判断できる力を養ってほしいと願っています。
中嶋先生の「基礎看護学」ではまず「コミュニケーション」から学びます。人との関係を構築するなど、看護を実践する上で基本となる技術を身につけるためです。体育館を使って隣の人からはじめ、徐々に話す人を変えながら進めていきます。最初「コミュニケーションが苦手」といっていた学生も「相手をわかろうとする態度」といった技法を実践することで「話ができた」という自信につながります。「学校で学ぶことは多いですが、自分の得意や強みを見つけることが大切」と先生。「強みを知って自信を持つと、大きく成長します」
看護師になるという強い意思を持っていても、新しいことに挑戦すると迷い、悩むことがあります。しかし、悩みは自分の成長のきっかけ。その経験は看護師になっていろいろな患者さんと関わるときに役立ちます。
看護専門学校を卒業後、看護師として7年間勤務。出産を機に母校の看護学校に教員として勤務した後に、友人の紹介で千葉市青葉看護専門学校の教員になる。教務主任養成講習会を経て学科長となり現在に至る。趣味は旅行と芸術鑑賞。ミュージカルやクラシックバレエの舞台を楽しむ。「仕事とまったく異なる世界に身をおくことでリラックスでき、良い刺激にもなります」。