社会と言語の関係を探る研究と、第二言語の習得・教材開発などの研究教育活動に取り組んでいます。言葉はその人が受けた言語教育や立場、自己認識といった社会的要因から影響を受けています。その中でも私は、特に日本語と韓国語における「呼称」の使い分けにおよぼす社会的要因や、第二言語学習者による呼称の「使い方」に対する母語話者のもつ印象、また社会的迷惑場面の言語行為に対する社会文化的規範や個人のコミュニケーションによる影響に関心を寄せています。これらのテーマは、いずれも私自身が第二言語を習得する際に感じた疑問や興味に端を発するもの。一見、社会言語学と語学教育は違う分野に見えるかもしれませんが、社会における言語の役割、そして社会で生きるために言語を習得するということは大きく一体となるものだと考えています。
「大学における外国語教育の目的は、単にネイティブ・スピーカーのように話せるようになることではありません」と林教授。異なる文化的背景をもつ人と分かり合うためには、母語と外国語の間を往来し「言語を越え、文化を越える能力」が必要であるといいます。「言葉」を教えるには、まず相手の立場に立つことと、共感することが大切。初級・中級など習熟の段階によって求められる要件は異なりますが、文化的背景による価値観の違いに対する寛容さと、相手への共感によって、本来あるべき「人との関わり」が生まれると考えているそうです。
文化的背景の異なる人同士のコミュニケーションは、誤解や行き違いが生じて当たり前。そうした「予期せぬ出来事」が視野を広げ、新たな挑戦や関心につながることもあります。何事も失敗を恐れず行動してみましょう。
専門分野/社会言語学、外国語教育
略歴/広島大学大学院 国際協力研究科教育文化専攻博士後期課程を修了し、同大学院研究科にて特別研究員として務める。その後、日本学術振興会 外国人特別研究員、広島修道大学 人間環境学部にて助教授を歴任。2007年より山口県立大学 国際文化学部および同大学院 国際文化学研究科へ准教授として入職。2013年より現職。博士(ph.D)。※名前の「ヒョン」は、正しくは火へんに玄