会話の中で、言葉の裏にある意図に注目して研究する学問を語用論といいますが、私の研究テーマはその一分野である会話分析です。私たちは特に意識しなくても、ある秩序やルールの下で会話を組み立てています。例えば、日本語での会話で「えーと」「うーんと」などを無意識に使っていますよね。英語でもwellとかI meenなどはよく使いますが、これらの言葉で話し手が考え中であることや、話がまだ続くことが相手に伝わります。このようなフレーズを談話標識といい、これにより自然な会話が成り立つとも言えるのです。実際に交わされる言葉を詳細に記録し、発言の順番や会話の進行への影響などを分析・研究することで、自然な英会話に何が必要なのかがわかり、日本の英語教育の進むべき方向性も見えてくる。会話分析はなかなか面白い研究分野です。
会話分析を専門に研究し、談話標識の役割も扱うラーセン先生のゼミ。学生たちはYou Tubeなどから会話のデータを取り、一語ずつ細かく記録しながら分析を進めます。談話標識は外国語コミュニケーションを学ぶ上での要となるもの。会話の中に規則的に現れる言葉から、話し手が作り出す状況や行為の行方などが明らかになるとともに、社会構造なども垣間見えてきます。ゼミでは、会話分析の研究によって、英語学の体系的理論と実践的な会話能力の両方を獲得することをめざしています。
留学先でコミュニケーションの問題が起きる場合、原因は文法でも発音でもなく、日本語と英語のリアクションの違いであることが多いです。会話分析で原因を明らかにし、談話標識を学んで自然な会話をつくりましょう。
研究分野:言語学、会話分析、英語教授法
略歴/1967年スコットランド生まれ。幼少期にイングランドに移住。1995年に来日し、西日本を中心に英語教育に携わる。日本の英語教育に関する論文も多数発表。