
日本の各地で課題となっている「空き家」や活用されていない地域資源。空き家再生は建築を蘇らせることだけではなく、その場所をどう動かし長く使い続けていくか、という運用の仕組みまでデザインすることが大切です。高橋※ゼミでは行政や住民、NPO等と協働し、調布市や栃木県さくら市、鳥取県南部町などで実践的なプロジェクトを展開しています。
例えば、南部町の100坪の空き家再生では、現地調査や企画・設計をはじめ、図面作成から工事の発注・工程管理まで学生が主体的に関わります。自分たちの提案をプロの職人へ正確に伝えたり、教室の外の現場で地域住民と対話を重ねる経験を通して、将来社会で活きるプロ意識と持続可能な地域づくりに必要な実践力を養います。
※「高橋」の「高」は、正しくは「はしご高」です。

模型を使って空き家改修提案を行う様子(鳥取県南部町)
調布市では、行政・企業・NPO・大学が連携した空き家利活用を展開。地域の活用拠点「トビバコ」ではアート・教育・福祉など多様な活動が展開され、学生も館内で使う本棚を制作するなど空間づくりに参加しています。
また、編集・企画を手がける手紙社とともに建物の歴史やオーナーの想いをつむぐ『空き家新聞』の発行や「空き家ツアー」も企画。単なる物件の条件面だけでなく、背景のストーリーや人の情熱を伝えることで、幅広い世代が集い地域に愛され使い続けられる温かな居場所を創出します。人と地域の縁を結ぶ実践に挑んでいます。

地域住民や子どもたちと交流しながら、多世代が集える温かなコミュニティの場を創出
栃木県さくら市では、地球温暖化防止と林業活性化を目指し、他大学と連携して「WSA(Wood Structure Art)の森」プロジェクトを推進。地元産の木材を使い、自然の中で誰もが楽しめる空間アートを制作しています。3Dスキャンを用いた測量や設計、施工はもちろん、現地での仕上げまで学生自ら実行。林業見学や小学生との植樹体験など地域とも深く交流します。2028年の完成を目指す5年計画の中で、頭の中のアイデアが実際の空間となり、人々に使われる建築本来の醍醐味と社会に届く歓びを実感できる取り組みです。

「WSAの森」のアート作品
地理・公民や美術、探究の時間が好きな方はもちろん、「数学や物理が苦手だけど建築に関わりたい」人にも向いています。課題を深く調べたり、誰かの役に立つものを自分の手で作り出したい人が楽しめる学び場です。
主宰:高橋大輔 建築家・共創デザイン研究者
共立女子大学 建築・デザイン学部長。建築的思考を基盤にデザイン、アート、教育、地域、産業などの領域を横断し、人と人、組織と社会をつなぐ「共創デザイン」を研究・実践。大学の教育・研究にとどまらず自治体や企業との協働プロジェクトの企画・実践も注力。一級建築士、博士(工学)。mt2a 松下高橋アーキテクツアンドアソシエイツ共同代表。
※この画面の情報は、すべて取材した時点でのものになります。