世界33カ国の10代の若者に幸福かどうか尋ねたユニセフの調査(2018年)によると、生活全般への満足度を0から10までの数字で表す設問で、6以上と答えた日本の若者は62%、33カ国中2番目に低い結果でした。安全で清潔で、医療や福祉制度も整い、教育も受けられ、物も豊富にあるのになぜ満足度が低いのか?それはポジティブ心理学の領域で言われている「幸せの法則」に関係があります。幸福度は、性格5割、環境1割、行動4割で決まるというもので、「環境」の影響はたった1割。それよりも「行動」が幸福度の4割を左右します。環境に恵まれた日本の若者には、ゲームや読書、スポーツなど何かに没頭する「行動」が幸福のカギになると言えるでしょう。こうしたポジティブ心理学の研究を通して、日本の若者の笑顔を増やすことが私のミッションだと考えています。
吉武先生が担当する青年心理学ゼミでは、大学生の幸福感の向上につながる研究を行っています。3年次にはグループ単位で研究を行い、4年次には個人研究に取り組みますが、アンケートや実験、データ収集など、仲間と協力し意見を出し合いながら卒業研究を進めています。研究テーマも多様で、「SNSと攻撃性」「推し消費とメンタルヘルス」「睡眠とモチベーション」といった学生の興味関心に基づく様々なテーマが対象に。さらにゼミではセラピー活動も実施しており、アートセラピーや認知行動療法など体験を重視した学びを展開しています。
世界的に見て低い日本の若者の幸福感。しかし幸福感を高めるための要因は、まだ十分に解明されていません。一緒に幸せのレシピの完成に向けて研究しましょう。
専門分野:発達心理学、健康心理学、ポジティブ心理学
University of Ottawa, Faculty of Social Sciences, Psychology Course卒。お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科発達社会科学専攻心理学領域博士後期課程修了。博士(人文科学)。臨床心理士。
(独)経済産業研究所リサーチアシスタント、お茶の水女子大学リサーチフェローを経て、2016年より現職。