ドラッグデリバリーシステムを知っていますか?必要最低限の量の薬を的確な時間と場所に狙い通りに届ける技術です。シャペロニンはすべての生物が持つタンパク質。直径約5nmの空洞が一定時間毎に開閉して再生したタンパク質を放出する、いわば天然の開閉制御型ナノカプセルです。私達の研究では、そのシャペロニンの開閉時間を変化させて人工シャペロニン変異体ライブラリーを作製。望む時間で開閉するシャペロニン変異体の空洞に化合物を閉じ込め、細胞の目的の場所に送達することに成功しました。このナノサイズのカプセルを利用すれば、薬の効果を最大限に得られる可能性も。
今、この分野は他分野を学んできた人達など様々な方面から盛んに研究が行われています。生物の他、化学、物理、情報などに興味がある人にもぜひ学んでほしいですね。
応用化学生物学科は3コース制。『応用バイオコース』では、専門的な授業・実験を通して即戦力となるバイオ技術者を養成する。『応用化学コース』は化学による新たな価値を創造を目指す力、『生命科学コース』では生命科学技術の力を養成。いずれも自身の研究と企業等との研究プロジェクトに参加・両立して学べる。「授業やゼミでは知識や学力の修得だけでなく、相手の立場で物事を捉える視点や計画性をもって取組む姿勢など社会で即通用するスキルも修得できるよう指導しています」と小池教授。実際お手本となる多くの先輩達が活躍中だ。
1分子レベルでの解析が可能になるなど解析技術の進化はめざましいもの。「化学」はもちろん、「物理」の知識やバイオインフォマティクスの観点からデータベースを扱う「情報」に興味のある方も楽しく学べます。
大学卒業後、トヨタ自動車株式会社に入社。開発企画部バイオラボでタンパク質工学の研究に従事し、薬剤中間体の合成など物質生産に携わる。1999年理学博士(東北大学)。東京工業大学博士研究員。東京大学リサーチフェローなどを経て、2011年より現職。