
人文・社会科学系の学びと進路は想像以上に多彩です
当館は、東京都中央区の歴史・文化に興味をもってもらうために区にゆかりのある文化財や歴史資料を所蔵・展示している施設です。学芸員の業務は多岐にわたり、企画展の準備や、区の登録文化財候補の調査のように長期的に取り組むものから、一般の方からの問い合わせやメディアへの対応など突発的に生じるものもあります。歴史学の時間スケールでは江戸時代から昭和期は「最近」のように感じられますが、昔の写真や地図などの史料を見ると、今は道路になっている場所が昔は川だったなど別世界のようです。史料を通して、その場所でかつてたしかに暮らしていた人々の営みを感じられることは、この仕事の醍醐味です。
中学から聖心に通っていて馴染みがあり、また歴史以外に文学や哲学にも興味があったので、1年次は学科を決めずいろいろな分野を学べることが魅力で入学しました。都立中央図書館や美術館、劇場など文化施設へのアクセスの良さも魅力でした。史学科の入門科目を履修してやはり歴史学に魅力を感じ、また古代から現代、政治から文化まで幅広いテーマを研究できるので史学科を選びました。卒業後は他大学の大学院でアーカイブズ学を専攻し、修了後は聖心女子大学に副手として勤めて大学の資料を整理するアーカイブズ整備プロジェクトに携わりました。次のステップでも歴史や史料に関わる仕事がしたいと思い、現職の採用に応募しました。

3年次からは近現代史のゼミに所属しましたが、史学科は履修の自由度が高く、専攻した日本史以外にも世界史や他学科の科目もいろいろ受講していました。学内のミュージカル研究会で活動するなど演劇が好きで、卒論でも明治時代の歌舞伎について調査しました。例えば、当時は「キワモノ歌舞伎」という時事ネタをすぐに扱った歌舞伎が人気で、いまで言えばワイドショーの再現ドラマのような役割を担っていました。後世では芸術として評価されていませんが、当時の人々が何に熱狂していたかを知る手がかりとして意義深いものです。中央区は演劇にもゆかりが深い土地ですから、いつか演劇に関する展示ができたらと思っています。

展示室の床には周辺の昔の地図があしらわれています

中央区立郷土資料館 勤務/文学部(現・現代教養学部)史学科/2019年卒/休日はミュージカルや歌舞伎の観劇のほか、美術館巡り、読書などをして過ごしているが、『職業柄もはや「趣味」とは言えないかもしれませんね』と笑う。『幅広い視野が求められる仕事です。私が元々演劇が好きですが、それ以外にも例えば商業などいろいろな分野を扱わないといけません。昨今は「コスパ・タイパ」「就職に有利なように」という風潮が強いですが、むしろアンテナを広くはり、いろいろな物事に興味を持つことが大切だと思います』と学芸員としての心構えを語ってくれた。
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