研究テーマはソフトウェアと信号処理です。ネットワークとデータは世界を便利に変えていきますが、そこでは組込みシステムと呼ばれる制御用のコンピュータを内蔵した機器が重要な役割を果たします。スマートスピーカーなどネットワークにつながる機器だけでなく、デジタルカメラや電気自動車、炊飯器や体温計に至るまで、あらゆるものにコンピュータが内蔵されていますが、それらが機能するにはソフトウェアが欠かせません。組込みソフトウェアには自律協調して動く高い「信頼性」、限られた資源で動く高い「動作効率」、様々な環境で動く「頑強さ」が求められます。私はこうした条件を満たすソフトウェアを誰もが正しく効率良く開発ができるような方法を研究するとともに、計測データの処理方式についても研究しています。
小倉研究室では学生や院生が一緒に組込みソフトウェアの開発方法やデータ処理方法について研究しています。「デジカメや炊飯器、自動車などに搭載する組込みソフトウェアの開発は、パソコンのアプリケーションソフトウェアの開発とは勝手が違います。経験のない学生が多いため、組込みソフトウェアの開発を題材にしたロボットコンテストへの参加や、他大学と合同でグループ開発演習を行って研究に必要な知識を身につけています」(小倉先生)。こうした活動経験で得られた知識や気づいた課題を活かし、各自の研究テーマに取り組んでいます。
ソフトウェア開発の問題は突き詰めると人間の問題であることが多いです。開発する人間や使う人間そのものにぜひ興味を持ってください。コンピュータという不思議な機械を使って人間社会をより良くしましょう。
博士(工学)。東京工業大学工学部情報工学科卒。東京工業大学大学院理工学研究科電気電子工学専攻修士課程修了。1997年4月より東京工業大学精密工学研究所助手、2005年4月より武蔵工業大学(現・東京都市大学)環境情報学部情報メディア学科講師、2007年4月より同准教授。改組に伴い2013年4月より現職。